こと「作画」という切り口で言えば、本作について何かを言及しようという気にはなりません。この十数年で、「変態的」と称して差し支えないであろう作品群（京アニ作品に限らず、です）にあまりにも多く触れ過ぎた私ですから、その切り口のみで語るとどうしたって辛めの評価にしかなりません。一方で私は「作画の良し悪しが戦力の絶対的基準ではない」とも信奉している性質ですので、そこは本作の評価においてはきっぱりと横に置いておくべきだと思います。

　原作は、とても間合いの良い「4コマ漫画」です。作者の柳田史太さんは、ご本人にはそれなりの「フェチ」な部分がありそうに見えるのに、本作においては決してその性癖をダダ漏れにさせることをせず、各キャラクターをそこに「あるがまま」に描き出そう、それを4コマ漫画のフォーマットで最大限に映えるように構成し尽くそうと腐心された形跡が作中のあちこちから読み取ることができて、少なくともその点において「全幅の信頼を置いて身を委ねていい作者さんだ」と私は思いました。特に、「4コマ漫画のフォーマット」としての完成度が本作はあまりに高くて、これをアニメにした際に得難い何かが漏出して無くなってしまわないか、というのが見る前の一番の懸念点だったのです。

　そして、見終えた後の感想ですが…もう全ッ然杞憂でしたね！もちろん、「マンガとアニメ」というフォーマットの違いも大きいですし、モチーフによっては「4コマの方が面白い」ような箇所もありましたが、それでも、原作の面白さを今回のアニメは十二分に表現し得ていると私は思いますし、場合によっては「アニメならでは」の良さも良く表出できていると思いました。えっ、言葉が回りくどい？よござんす、じゃあはっきり申し上げましょう！原作を堪能した人であっても、アニメを見たら「こっちも存分に楽しめる」と私は思います！

　出来の良いアニメからは、「空回り感」をあまり感じないものです。本作からは、色々なものがキッチリと噛み合っている感じを私は受けました。大丈夫じゃないかなぁ、少なくともオレはめっちゃ笑いながら見させてもらいましたよ。テンポもめちゃくちゃ良いので、一期でラストまで描き切るんですかね。いや、むしろこの作りならその方が潔くていいかもしれません。とにかく、安心して身を委ねていいコンテンツの一つであることは間違いないと思いますよ。引き続き、「個性的でいてそれぞれが純な各キャラクターの行く末」を楽しませていただこうと思います。 ■関連記事～
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