OVA特別編が発売された今書かないと、永久に書く機会がないと思うので。もう3月末に出ているDVD、フルメタルパニック The Second Raid Scene12~13のことなんですが。
細かい点を見比べたわけではないのですけども、最終話であるScene13、構成が一部仕切り直されているんですよね。放映時は無かったOPとEDが付いてますし、そちらにクレジットが移ったために放映時は本編に挿入されていたクレジットが全部消えてますし、ラストの電車のシーンはEDの後に配置されてますし、ラストバトルの山場でバックにかかっていた南風は通常のBGMになってるし、という具合。このため、ハードディスクレコーダに録った放映版のうち、Scene13だけは未だに消せない自分がいます。
細かい点を見比べたわけではないのですけども、最終話であるScene13、構成が一部仕切り直されているんですよね。放映時は無かったOPとEDが付いてますし、そちらにクレジットが移ったために放映時は本編に挿入されていたクレジットが全部消えてますし、ラストの電車のシーンはEDの後に配置されてますし、ラストバトルの山場でバックにかかっていた南風は通常のBGMになってるし、という具合。このため、ハードディスクレコーダに録った放映版のうち、Scene13だけは未だに消せない自分がいます。
制約が美学を生む、みたいなことを言っていたのは一体誰だったでしょうか?うまく言葉に出来ないんだけど、数多くの制約を乗り越えようとギリギリ詰めに詰めた結果として、稀に絶妙のバランスが構築されることは確かにあるんですよね。放映版&DVD版双方のTSR Scene13を見比べると、そんな気がやっぱりちょっとしちゃいます。
きっとこれはリアルタイムで見ていた興奮のせいなのだろうと思うのですが、自分の正直な感想でははっきりと「放映版」に軍配が上がるのね。オーディオコメンタリーを聞いて、「あの放映版の構成は苦肉の策だった」ということはわかりましたが、あのギリギリの時間内の配置には「これ以上はない」というピリピリした感覚、何とも言えぬドライブ感を感じていたのですよ。OPもEDも抜きで疾走する感じは、本編中に組み込まれたクレジットの雰囲気と相まって「劇場作品」的な重厚感を感じさせてくれたし。ラストバトルでかかる「南風」は確かにベタベタではあるけれど、そのベタベタ感がまたこのシーンにはよく合うなぁとも思っていたわけで。もちろん、今回の変更があっても個々のシーンの良さや、Scene12以前からスパッと切り替わるあの爽快感は不変なのですが、やっぱり素直に「残念」ではありますね。
~~~
自分が「メディア発売時のリテイク」に同様の違和感を感じた例として、EVANGELIONがあります。あの作品のビデオ&LDリリースは10巻(第拾九話~第弐拾話)でいったん休止状態に入ったのち、しばらく間が空いてようやく再開された11巻~12巻(第弐拾壱話~第弐拾四話)で大幅なリテイクが行われたのですよ。劇場版「DEATH」の初演時に追加されたものを含む、数々の新作カットが本編に取り込まれたんです。その結果、空白だった情報が一部埋まって、作品の解釈がしやすくなったのは事実です。しかし、当時と微妙に異なる作画から来る違和感とは別に、何か妙な居心地の悪さがあったんですよね。そう、「うまく流れてない」という感じが。
大幅なリテイクのあった第弐拾壱話以降の制作現場は、そりゃもう大変なものであったと言われています。来週にはとうとう落としてしまうかもしれない、そのトンでもない緊張感とキツイ仕事に耐えながら、一話一話を何とか繋いでいくような強行スケジュールだったと。その結果、とうとうどうにもならなくなった残り二話において庵野監督は良くも悪くも伝説となったあのメタ展開に踏み切るわけですが、それはとりあえず別の話として。その直前、第弐拾四話「最後のシ者」では、ギリギリの状況ならではと思わせるような、絶妙なバランスが生まれたんです。
当時、週を追うごとに目に見えて劣化していく作画に暗い予感を感じていた私は、第弐拾四話を見て再び心をわしづかみにされたような興奮を覚えたものです。うわー!やってくれるよオイ!一体どうなるんだコレ!てな具合で死ぬほど盛り上がりましたとも。全編を通じて一番に挙げても惜しくない、そんな魅力が弐拾四話にはありました。そして、待ちに待ったビデオリリースの際にリテイクされた弐拾四話を見て、やっぱり僕はちょっとがっかりしちゃったんです。ああ、これなら前の方が良かったかもナァって。
~~~
「その時」にしか醸し出せないものって、きっとあると思うんですよ。あとで手を加えちゃうと壊れちゃうようなものが。でも、一方で制作者の気持ちとしては、やり残したところがあれば万全の形に直して最終版にしたい、という欲求も確かにあるわけで。難しいところですよね。うんうん。
自分の中でフルメタルパニック!TSRという作品はものすごく高いランクに位置づけられており、その事実は今も変わりません。ただ、この件ではちょっとした引っかかりを覚えたことを、こうしてブログの記事にして残しておくことにします。これから見ようかと思ってる方が、ウチのScene13のレビューと合わせてこの記事を読まれると、微妙な感じがするかしら。いや、DVD版もちゃんと面白いから安心して下さいませ。あの夜明けの表現と夕暮れの表現は、何度見てもやはり神がかっておりますよ。
オーズ 第32話「新グリードと空白と無敵のコンボ」 (2011/05/08)
あとがきのまえがき (2009/04/02)
オーズ 第19話「赤いメダルと刑事と裏切り」 (2011/01/30)
ヤマト2199 第七章が。 (2013/08/17)
飲んだくれて録画見る (2021/11/13)
無理を押してもまだどうにかなってる範囲。 (2012/12/04)
無事完遂!だが! (2010/02/06)
きっとこれはリアルタイムで見ていた興奮のせいなのだろうと思うのですが、自分の正直な感想でははっきりと「放映版」に軍配が上がるのね。オーディオコメンタリーを聞いて、「あの放映版の構成は苦肉の策だった」ということはわかりましたが、あのギリギリの時間内の配置には「これ以上はない」というピリピリした感覚、何とも言えぬドライブ感を感じていたのですよ。OPもEDも抜きで疾走する感じは、本編中に組み込まれたクレジットの雰囲気と相まって「劇場作品」的な重厚感を感じさせてくれたし。ラストバトルでかかる「南風」は確かにベタベタではあるけれど、そのベタベタ感がまたこのシーンにはよく合うなぁとも思っていたわけで。もちろん、今回の変更があっても個々のシーンの良さや、Scene12以前からスパッと切り替わるあの爽快感は不変なのですが、やっぱり素直に「残念」ではありますね。
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自分が「メディア発売時のリテイク」に同様の違和感を感じた例として、EVANGELIONがあります。あの作品のビデオ&LDリリースは10巻(第拾九話~第弐拾話)でいったん休止状態に入ったのち、しばらく間が空いてようやく再開された11巻~12巻(第弐拾壱話~第弐拾四話)で大幅なリテイクが行われたのですよ。劇場版「DEATH」の初演時に追加されたものを含む、数々の新作カットが本編に取り込まれたんです。その結果、空白だった情報が一部埋まって、作品の解釈がしやすくなったのは事実です。しかし、当時と微妙に異なる作画から来る違和感とは別に、何か妙な居心地の悪さがあったんですよね。そう、「うまく流れてない」という感じが。
大幅なリテイクのあった第弐拾壱話以降の制作現場は、そりゃもう大変なものであったと言われています。来週にはとうとう落としてしまうかもしれない、そのトンでもない緊張感とキツイ仕事に耐えながら、一話一話を何とか繋いでいくような強行スケジュールだったと。その結果、とうとうどうにもならなくなった残り二話において庵野監督は良くも悪くも伝説となったあのメタ展開に踏み切るわけですが、それはとりあえず別の話として。その直前、第弐拾四話「最後のシ者」では、ギリギリの状況ならではと思わせるような、絶妙なバランスが生まれたんです。
当時、週を追うごとに目に見えて劣化していく作画に暗い予感を感じていた私は、第弐拾四話を見て再び心をわしづかみにされたような興奮を覚えたものです。うわー!やってくれるよオイ!一体どうなるんだコレ!てな具合で死ぬほど盛り上がりましたとも。全編を通じて一番に挙げても惜しくない、そんな魅力が弐拾四話にはありました。そして、待ちに待ったビデオリリースの際にリテイクされた弐拾四話を見て、やっぱり僕はちょっとがっかりしちゃったんです。ああ、これなら前の方が良かったかもナァって。
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「その時」にしか醸し出せないものって、きっとあると思うんですよ。あとで手を加えちゃうと壊れちゃうようなものが。でも、一方で制作者の気持ちとしては、やり残したところがあれば万全の形に直して最終版にしたい、という欲求も確かにあるわけで。難しいところですよね。うんうん。
自分の中でフルメタルパニック!TSRという作品はものすごく高いランクに位置づけられており、その事実は今も変わりません。ただ、この件ではちょっとした引っかかりを覚えたことを、こうしてブログの記事にして残しておくことにします。これから見ようかと思ってる方が、ウチのScene13のレビューと合わせてこの記事を読まれると、微妙な感じがするかしら。いや、DVD版もちゃんと面白いから安心して下さいませ。あの夜明けの表現と夕暮れの表現は、何度見てもやはり神がかっておりますよ。
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■関連記事~オーズ 第32話「新グリードと空白と無敵のコンボ」 (2011/05/08)
あとがきのまえがき (2009/04/02)
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ヤマト2199 第七章が。 (2013/08/17)
飲んだくれて録画見る (2021/11/13)
無理を押してもまだどうにかなってる範囲。 (2012/12/04)
無事完遂!だが! (2010/02/06)
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この記事へのコメント
はじめてコメントをさせてもらいます
自分もリアルタイムとDVDの両方を見ました。
南風が変更されていたのは非常に残念でしたが、フルメタTSRはやはり最高ですね何度も見てます。
いつか書き込もうと思っていたのですが、てりぃさんのブログがきっかけで自分はこのフルメタという素晴らしい作品に出会うことができました。本当にありがとうございました。人生をかなり損に生きるところでした。危ない危ない
自分もリアルタイムとDVDの両方を見ました。
南風が変更されていたのは非常に残念でしたが、フルメタTSRはやはり最高ですね何度も見てます。
いつか書き込もうと思っていたのですが、てりぃさんのブログがきっかけで自分はこのフルメタという素晴らしい作品に出会うことができました。本当にありがとうございました。人生をかなり損に生きるところでした。危ない危ない
2006/05/29(月) 20:09:59 | URL | ダンボール #j/GYrZyI[ 編集]
はじめまして、ダンボールさん。コメントありがとうございます。
私の記事がきっかけでフルメタをご覧になられ、しかもとても満足されているとのこと、私もすごく嬉しいです。レビュアー冥利に尽きますです。
人によって感想は異なるので、私がオススメしたものが必ずしも万人にとって面白く見られるものにはならない、というジレンマが私の中にもあります。それでも、自分が惚れ込んだ作品の良さを書き続けることには、やっぱり意味があるんだな、と再認識することが出来ました。そのことを教えて頂いて、感謝、感謝でございます。
プライベートも刻々と様子が変わるため、ブログにかける時間も今まで通りとは行かなくなっている昨今ですが、ダンボールさんやWEB拍手で応援して下さる多くの方々の言葉を励みに、「これだけは!」と思うところは何とか続けていきたいと思います。もしよろしければ、今後ともよろしくお願いいたします。
私の記事がきっかけでフルメタをご覧になられ、しかもとても満足されているとのこと、私もすごく嬉しいです。レビュアー冥利に尽きますです。
人によって感想は異なるので、私がオススメしたものが必ずしも万人にとって面白く見られるものにはならない、というジレンマが私の中にもあります。それでも、自分が惚れ込んだ作品の良さを書き続けることには、やっぱり意味があるんだな、と再認識することが出来ました。そのことを教えて頂いて、感謝、感謝でございます。
プライベートも刻々と様子が変わるため、ブログにかける時間も今まで通りとは行かなくなっている昨今ですが、ダンボールさんやWEB拍手で応援して下さる多くの方々の言葉を励みに、「これだけは!」と思うところは何とか続けていきたいと思います。もしよろしければ、今後ともよろしくお願いいたします。
TSR再放送も最終回を迎えたので、軽く感想を書かせて頂きます^^
最終話レビューとどちらにコメントしようか迷いましたが、自分が見たのはDVD版の方なのでこちらに。
全体としては、大絶賛の出来でした。1話がとても良くて、2~4話が(全体から見れば)イマイチで、5・6話あたりから突然トンデモナイ出来になるのは京アニ作品共通の特徴な気がしますね(何
個人的には、AIRと比べても遜色ないほどの傑作だと思いました。
最終話。再放送版ではDVD版を基にOPと本編後半5分程をカットという暴挙の為、どこにも南風が流れないわ「テッサ、いつも済まない」「へっ?」で切れてEDに突入するわで呆然でした(滝汗)もちろんCパート無し。
DVDレンタルで補完したからいいですけどねwラストシーン、とても綺麗な纏め方で悶えましたw
ちなみにTV版とDVD版の変更点についてですが、ラストバトル時の南風については俺見てないので何とも言えない(見てみたいよ~)のですが、EDについてはコレ無いとマズイのでは?と思いました。
帰ってきた学校内での日常シーン→放課後(校内無人)の夕焼けの中、並んで帰宅する二人(ED)→電車内でのラストシーン、と確実に繋がった構成になってるので。さらにEDの最後が「2年4組」の教室プレートのアップで終わるのが、宗介の「俺は陣代高校2年4組~」の口上を聞いた後だととても感慨深くて(涙)
こんな仕込みをしていた事に感服しつつ、これを放映時にカットしたのは痛恨だったんだろうなぁと思ったりしました。
何はともあれ、自分の中の名作リストにまた一本追加された事に感謝です^^
最終話レビューとどちらにコメントしようか迷いましたが、自分が見たのはDVD版の方なのでこちらに。
全体としては、大絶賛の出来でした。1話がとても良くて、2~4話が(全体から見れば)イマイチで、5・6話あたりから突然トンデモナイ出来になるのは京アニ作品共通の特徴な気がしますね(何
個人的には、AIRと比べても遜色ないほどの傑作だと思いました。
最終話。再放送版ではDVD版を基にOPと本編後半5分程をカットという暴挙の為、どこにも南風が流れないわ「テッサ、いつも済まない」「へっ?」で切れてEDに突入するわで呆然でした(滝汗)もちろんCパート無し。
DVDレンタルで補完したからいいですけどねwラストシーン、とても綺麗な纏め方で悶えましたw
ちなみにTV版とDVD版の変更点についてですが、ラストバトル時の南風については俺見てないので何とも言えない(見てみたいよ~)のですが、EDについてはコレ無いとマズイのでは?と思いました。
帰ってきた学校内での日常シーン→放課後(校内無人)の夕焼けの中、並んで帰宅する二人(ED)→電車内でのラストシーン、と確実に繋がった構成になってるので。さらにEDの最後が「2年4組」の教室プレートのアップで終わるのが、宗介の「俺は陣代高校2年4組~」の口上を聞いた後だととても感慨深くて(涙)
こんな仕込みをしていた事に感服しつつ、これを放映時にカットしたのは痛恨だったんだろうなぁと思ったりしました。
何はともあれ、自分の中の名作リストにまた一本追加された事に感謝です^^
2008/09/21(日) 15:45:47 | URL | 東西南北 #7SMSw2C6[ 編集]
>東西南北さん
>全体としては、大絶賛の出来でした。
良かった良かった。問題だった最終話も、即座にレンタルで補完されたようで何よりです。
特に、
>個人的には、AIRと比べても遜色ないほどの傑作
と評されていたのが、私個人も嬉しいですねぇ。本作については何かと、戦闘ロボットモノとしての不評を耳にする機会が多いモノですから。自分的には、戦闘ロボットモノとしての燃える部分を否定する気はありませんが、それと並行しての「人間ドラマ」が描かれていない(もしくは描くのに失敗しているとか独りよがりな自己主張モノに終わっているとか)は全く許せないタチでして。人間ドラマを描く阻害要因となるぐらいなら、アクションシーンは削っても良い、とまで極論を持ちかねない、そういう人なんですね(我ながらひでーなそりゃ)。そういうわけなので、TSRに関しては、全く不満の持ちようがないのであります。
>ラストシーン、とても綺麗な纏め方で悶えましたw
いいでしょあの「袖つまみ」と「…何でもないの」が!!かなめたん!!かなめたんラァブぅ!!かなめたーーーー
………あれっ?(笑)
>全体としては、大絶賛の出来でした。
良かった良かった。問題だった最終話も、即座にレンタルで補完されたようで何よりです。
特に、
>個人的には、AIRと比べても遜色ないほどの傑作
と評されていたのが、私個人も嬉しいですねぇ。本作については何かと、戦闘ロボットモノとしての不評を耳にする機会が多いモノですから。自分的には、戦闘ロボットモノとしての燃える部分を否定する気はありませんが、それと並行しての「人間ドラマ」が描かれていない(もしくは描くのに失敗しているとか独りよがりな自己主張モノに終わっているとか)は全く許せないタチでして。人間ドラマを描く阻害要因となるぐらいなら、アクションシーンは削っても良い、とまで極論を持ちかねない、そういう人なんですね(我ながらひでーなそりゃ)。そういうわけなので、TSRに関しては、全く不満の持ちようがないのであります。
>ラストシーン、とても綺麗な纏め方で悶えましたw
いいでしょあの「袖つまみ」と「…何でもないの」が!!かなめたん!!かなめたんラァブぅ!!かなめたーーーー
………あれっ?(笑)
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