ヴァイオレット・エヴァーガーデンの第12話を鑑賞しました。年度末進行とぶつかっちゃったので、完成までにこんなにかかっちゃいました。すみません。
そうやって時間を空けたせいもあるのでしょうが…こうして「普通の書き出し」で始まるレビューはいつ以来でしょうか。ここんとこ、終わった後ずっと号泣してて、その後もしばらく放心状態、ってのが続きましたからねぇ。
今回は…少なくとも見終わった時には号泣状態ではありませんでしたが、それでも存分に引き込まれて見ていましたし、EDが流れ始めてる時には、気付いたら涙浮かべてました。あれ?何か、泣いてる…って感じで。
ただし。
その涙の理由もよくわかりませんでしたし…それ以上に今回の話、すんげぇレビュー書きづらいんです。作画は間違いなく引き続きトップクラス、ストーリーテリングも澱みなく、これまでの展開を踏まえてあちこちに楔を打ち込んでくるようなモチーフもあれこれ見受けられるんですが、さて、いつものようなレビューを書こうとすると、全く頭が働きません。
何よりも。
今回、まさかの「サブタイトル無し」の2回目でした。あれっ。どうしよう、これ。
前にサブタイトルが付かなかった、第8話の時、オレ、何書いてたっけ?
そうやって時間を空けたせいもあるのでしょうが…こうして「普通の書き出し」で始まるレビューはいつ以来でしょうか。ここんとこ、終わった後ずっと号泣してて、その後もしばらく放心状態、ってのが続きましたからねぇ。
今回は…少なくとも見終わった時には号泣状態ではありませんでしたが、それでも存分に引き込まれて見ていましたし、EDが流れ始めてる時には、気付いたら涙浮かべてました。あれ?何か、泣いてる…って感じで。
ただし。
その涙の理由もよくわかりませんでしたし…それ以上に今回の話、すんげぇレビュー書きづらいんです。作画は間違いなく引き続きトップクラス、ストーリーテリングも澱みなく、これまでの展開を踏まえてあちこちに楔を打ち込んでくるようなモチーフもあれこれ見受けられるんですが、さて、いつものようなレビューを書こうとすると、全く頭が働きません。
何よりも。
今回、まさかの「サブタイトル無し」の2回目でした。あれっ。どうしよう、これ。
前にサブタイトルが付かなかった、第8話の時、オレ、何書いてたっけ?
まずは、その時のレビューから振り返ってみますか。
ところが、今回の第8話では、その鍵括弧さえ表示されなかった。
(中略)
ただ、仮にこの「鍵括弧さえ無い」という事実が、この作品の表現の一環としてなされているとしたら、これはそれ自身で一つの意味を持ちます。
ヴァイオレットが、言葉にならない言葉さえも失ってしまった、という意味を。
第7話のサブタイトルが、鍵括弧付きだけど中に言葉の入らない「 」であったことと対比して、第8話にはそれさえも無い=サブタイトルを付けないこと自体が表現の一環ではないか、という考察を行ったわけです。
それを踏まえて今回の第12話を振り返り、「言葉にならない言葉さえも失うこと」に類するような含みがあるかを探してみましたが…どうしても見つけることができません。
どうやら…第8話と今回の第12話に、「サブタイトルが一切付いていないこと」は、この作品の表現の一環として行われていたことでは無さそうです。これはちょっと残念。
じゃあ、何で第8話と第12話の二つだけサブタイトルが付いてないのかってことになるわけですが…一番ありそうなのは、「前後編の二話で一つのエピソードを構成する、その前編だったのではないか」って辺りですね。つまり、第8話はサブタイトルが付いていないのではなく、第8話と第9話を合わせて「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」というサブタイトルが付く長編エピソードだった、とする解釈です。すると、この第12話は、次回第13話と合わせて、大きな一つのエピソードになる、ということになります。
これ、「すんげぇレビュー書きづらい」ってことと繋がってるかもしれません。
足掛かりにできるサブタイトルがまだ不明、ってだけでなく、下手をすると「パーツが全部揃っていない」って可能性が出るんですよ。うわぁ。
壊れドライバも作動しておらず。
重要な足掛かりたるサブタイトルも無く。
映像内のパーツにも、二話構成という構造上の欠けがあるかもしれない。
なっ…何というアウェイ感だっ…こんなんでレビュー書けるのかっ…このくらいで潰える程度でレビュアーとはおこがましいっ…「早く死ね!」という大佐の声が自分に言われてるようで胸に痛い…。
あ……涙……そうだ、自分の涙の理由を探さなきゃ。欠けがあろうがなかろうが、今話単体で泣いてる以上、その理由がどっかにあるはずだ…。
【「二つの在り方」の狭間で】
今話では、あちこちに「二つの在り方」を問うパーツが顔を出しています。
まずアバンでは、「和平」と「戦争」の二つの在り方が描かれています。厄介ごとを押し付けようとする陸軍の面々に対して痛烈な嫌味をぶつけるディートフリート大佐、というのが絵面的に「強くて」、そっち側に意識を持っていかれてしまうんですが、アバンのラストで「ぽん」と置かれるこの言葉が、今話の方向性を見事に提示しています。
「……和平か。」
皮肉屋のディートフリートらしい、一連のセリフ回しの最後を飾るのがこの言葉です。当然、肯定的な意味合いやただのつぶやきではないでしょう。ここから何を感じ取るのも自由、というくらいに何も示されていませんが、私としては「戦争を生業としている軍が、和平のための仕事をねぇ…」辺りを推したいところです。もちろん、「守る」という仕事だって軍の大事な仕事でしょうが、それ以上に「戦う」「その結果人を傷つける」のも同じ軍の為すことですから、どうしようもなく欺瞞を孕んでしまうのが軍という存在なのですよね。
「守ること」と「傷つけること」。この、互いに正反対のものでありながら、裏表となってどう足掻いても切り離せないものを、本質的に排除できないのが軍です。そしてそれは、実は軍のみならず、人間自身にも当てはまるのですよね。
「和平か」という言葉とともに、画面にアップになるテルシス大陸の地図。この大陸自体が、平和と戦争の二つの在り方で揺れるもの、として描かれていますね。
Aパート冒頭では、未だ機上のヴァイオレットが描かれています。ライデンへ直行してもいいぞ、と言われているのに、ディスタリーへ行くと言うヴァイオレット。その理由ははっきりとは描かれませんが、C.H郵便社のあるライデンは平和側の象徴でしょう。そうではない先を目指している時点で、彼女の中にある「二つの在り方」というのが既に顔を出しています。しかもそれが、「向かう途中」というのがまた沁みますね。結論は、まだどこにも無くて、どちらに行く可能性も残されている。「気が変わったら教えてくれ」という、郵便屋のバンダルの言葉も味があっていいです。いつでも選択は変えられる。同時にそれは、「いつでも反対側に行く可能性がある」ということでもあるのですが…。
「にしても。
まだドールなんぞをやっているのか?
あの人間もどきのできそこないは!」
「!!!
ちょっとあんた!!」
「確かにあいつはできそこないかもしれねぇけど、
それでも必死にやってる。
あいつが書いた手紙で救われてる人もいる。」
「はぁん?」
「ヴァイオレットは、
素敵な手紙を書くんです。
すっと人の心に滑り込んで、
……自分が素直になれる手紙を。」
洋上の、ディートフリート大佐とカトレアたちの会話です。これ自体が、ヴァイオレットの「二つの在り方」を示すシーンになっています。片や、命令に従って人を殺すだけの、感情の無い人間もどきの存在としてしかヴァイオレットを定義していないディートフリート。片や、欠けているところはあろうとも必死に頑張って、人の心の機微というものを少しずつ学び、今や素敵な手紙を書けるように成長したヴァイオレットを知っている同僚たち。
この会話の終わりを俯瞰するカットに、空を舞う海鳥が重なり、その海鳥のアップから上空を飛ぶヴァイオレットの乗る飛行機へスイッチするという場面展開がなされています。これもまた、ヴァイオレットの「二つの在り方」を象徴する作りになっていますね。少し遡って、大佐がそこに来る前のカトレアとベネディクトの会話のところを振り返ってみましょう。
「私たちがあの特使と一緒にガルダリクへ行って、
公開和平書簡の取り交わしを行うのよね。」
「ああ。それが済めば…
(空を見上げて)
やっと戦争の終わりだ。」
ここでベネディクトが見上げた先には、何羽もの海鳥が飛んでいます。つまりこのシーンで、海鳥の飛ぶ様は「戦争の終わり」と等価のもの、という含みが持たされているのですね。「海鳥の飛ぶ姿からスイッチするヴァイオレットの乗る飛行機」もまた、戦争の終わりや平和と同じもの、ということになります。
一方で、海鳥の下に見えるカトレアたちの乗る船は、未だ海軍が任務のために配置されており、周辺の状況がきな臭いところも含めて、「まだ戦争が終わっていない」方を示しています。この二重写しの妙が、実にいい。
大佐に言ったように、「ヴァイオレットなら、今回は来ません」というのが、カトレアたちの望むこと。戦争を本当に終わらせる仕事、ヴァイオレットの辛い過去に触れかねない仕事には関わらせず、平和な仕事の方に専念させたい、ということなのでしょう。でも、ヴァイオレットはディスタリーを目指していたんですよね。カトレアたちが行こうとしているのと同じ、ディスタリーを。
同僚たちの思いを裏付ける他のカットもありました。今回はほとんど出番の無かったホッジンズですが、Aパートでちょっとだけ出て、こんなセリフを言っています。
「もうすぐ…帰ってくるかな。」
誰のことかは示されないので、間違ってると恥ずかしいんですが…私はこれを、ヴァイオレットの帰還を待つセリフと思って聞きました。第11話で片道一週間以上かかると言われていた先から戻ってくるわけですから、本当に無事に帰りつくまで心配、という辺りを描いたものと思います。そして同時にこのセリフは、「戻ってきて再び平和の中に身を投じる」という彼らが願う道をヴァイオレットが取らず、今はもう一つの道を行きつつあることのすれ違いを、そのやりきれなさをも描いているわけです。
「近くに爆発の跡がありました。
私も、同行します。」
「……ダメよ。
あなたは会社に戻るの。」
来てしまったヴァイオレットと、何とか関わらせないようにしようとするカトレア。分岐点ですよねぇ。しかし、ヴァイオレットは戦局判断に重要な情報を持っていたがゆえに、大佐個人の好き嫌いを抜きにして、否応なしに大佐の部屋に呼ばれています。カトレアと大佐の綱引きめいたこのやり取りは、先のシーンでそれぞれが「どちら側」の象徴として描かれていたかを噛みしめながら見直すと、切なさが倍増するのですよ。
必要な情報を聞き終わって、用済みだとばかりに彼女を追い出そうとする大佐と、そこに食い下がるヴァイオレット。彼女の動機が「守るため」だというのがまた、そのどうしようもなさに胸が苦しくなるのです…。
「大佐!ご命令を!」
「……………………。
貴様は、今も命令が欲しいだけの道具なんだな」
「違います…!
私は、もう…!」
「……………………。
失せろ!」
私はもう、何なのか。ここで「明快な言葉」として提示しない辺りが、痛痒感MAXでいいです。もちろん、彼女のこれまでを見続けてきた我々は、そこに言葉を補完できますよね。前回のサブタイトルを、そのままはめて良いのです。
少し顔を伏せて大佐の言葉を否定し、言葉を絞り出すようにして義手をギュッと握るヴァイオレット。この「義手」も、彼女の思いを雄弁に語ります…。
別な視点での、「二つの在り方を結ぶもの、壊すもの」という描写もありました。バイオレットを運ぶ機上の、郵便屋のバンダルの言葉を二か所引用します。
「鉄道だ。これを辿っていけば、
ライデンシャフトリヒまで行ける。
この鉄道で俺たちの国にも食料や資源が入ってくる。
北と南が、和平で結ばれるんだ。」
「グランテッザ大鉄橋。
これが完成したから南北の鉄道が通るようになったんだ。」
「北と南を結ぶもの」としての、鉄道と大鉄橋の説明を、時間を割いて入れています。そして同時に今話の中では、それを壊そうとしている者への言及もなされていて、そのせめぎ合いを描いていますね。まずは、上の鉄道の説明に先立っての、メルクロフ准将の言葉。
「我々はその間に、南北の交通を破壊。
その混乱に乗じて、再び、インテンスを奪還する」
このシーンに入るところ、ストーブの火が赤々と燃えているところが「戦火」を思い起こさせますね。少佐とヴァイオレットが最後の作戦で戦った相手がこのメルクロフ准将だった、という因縁の深さも良いパーツです。ですが、やや地味な「南北の交通を破壊」というセリフに着目すれば、それが「北と南、二つの在り方を断絶させんとする者」の描写であることがわかります。単に戦火をもたらす者として描くのであれば、この言葉は不要なのです。
一方、大鉄橋に関してはBパート、辛くもディスタリー駅への襲撃を免れ、走り始めた列車の中で言及されています。
「どこで仕掛けるつもりなのでしょう。」
「速度が落ちるところ…
そして破壊されると復旧が難しいところ。
グランテッザ大鉄橋!
トンネルは建設に10年かかっている。
破壊されたら南北縦断鉄道は、当分使用不能だ。」
今話の中で、実際に仕掛けられたのは大鉄橋ではなく、トンネルそのものでもありませんでした。つまり、何の絡みも無いのであれば、この言及も不要のはずです。しかし、あえてこれを言わせたからには、次回の舞台としてその大鉄橋上での立ち回りが描かれるか、或いはその他に何か含みがあるから、ということになります。前者は最終話が放映されるまで判断保留ですが、後者はすぐわかりますよね。メルクロフ准将たちがもたらそうとしているものが、二つの在り方を結ぶものの破壊である、ということに、再び言及しているわけです。
そしてとうとう、列車は襲撃を受けます。ここで列車が切り離され、兵士の乗った四両目以降が別の路線へ分岐してしまう描写があります。これ、通常運行している列車の後ろの方だけをきちんと分岐させるように、手動でポインターの切り替えを行うのは、流石にムリがあります。脱線しかねないと思うんですよ。また、「兵士を前方車両から引き離して戦力の一挙無力化を図る」というだけなら、切り離して途中の線路に放置するだけでも十分だったはず。機関車の付いていない後続車両はどの道動かしようがないですから、分岐しようがしまいが、似たような場所で止まって終わりなんですよね。
それを知ってか知らずかはわかりませんが…「分岐の描写を入れよう」としたのには、色々な状況が岐路に差し掛かっていることを表現しようとしてのものだと、私は思いました。一つには、大陸の行く末。もう一つには、ヴァイオレット自身の二つの在り方…。
部屋の灯りを落として、暗闇にするヴァイオレットの描写。戦いの中に身を置いたものとしての、的確かつ素早い行動が目を引きます。
暗闇の描写というのは、それだけでかなり難易度が高いです。暗いことを示しつつも、そこで何が起こっているかを明確に描き分ける必要にも迫られますので、描写力が問われるシーンの一つだと思うのです。京アニは光の描写にも物凄く長けたスタジオですが、今回の暗闇の描写も素晴らしいですね。暗い中でもわずかな光の照り返しがあるところなど、実に細やかです。
そんなところで交わされる、ヴァイオレットと大佐の二度目の対峙がまた良いです。
「やはり命令が欲しいだけか。」
「……………………違います。」
「違わない。貴様は道具だ。
オレが敵を皆殺しにしろと命じたら、
平然と殺すんだろう?」
「誰も、殺しません!」
「………………!」
「武器は、要りません!」
「…道具じゃないなら、何だというんだ!」
大佐おめーヴァイオレットにも頼らざるを得ない緊迫した状況なのにわけわかんない駄々こねてナニやってんの!というツッコミが舞いそうなシーンですが、左程に「ヴァイオレットが何者であるのか」は大佐にとっての重大事、ということでしょう。彼の中では、部下を殺し、弟の少佐も守れなかったヴァイオレットは、憎むべき存在でなくてはならないのです。それを確認しながらでないと、彼は納得できない。今もそうであるところを見ると、彼はずっと納得できていないのです。こいつは道具だ、道具であるはずだ、憎むべき、忌むべき存在のはずだ、そうでなくては、オレの部下も弟も何故死ななければいけなかったのか、オレには納得できない…というような。
この大佐の懊悩は、「二つの在り方を問う」という今話のテーマと共鳴して、ヴァイオレット自身の問題に帰結します。彼女がただの道具でないことは、既に我々視聴者にはわかりきっていることですが、「道具じゃないなら何だと言うんだ」と聞かれて、何と答えればよいのか。「ただの、ひとりの人間です」と答えても良いのですが、そのようにあっさり答えるには、「過去のヴァイオレットと今のヴァイオレット」も、「平和な世界に手紙を書き続けるヴァイオレットと誰かを守ろうと足掻くヴァイオレット」も、その両者の振幅が大きすぎるんです。二つの在り方。その中で、彼女はいったい、何であろうとするのでしょうか。
「誰も、殺しません」と答えるヴァイオレットの、後ろで結ばれた両の義手は、ここでもギュッと強く握られていました。彼女の、誰も死なせたくないとの思いが、ここでも描かれています。
「貴様…ライデンシャフトリヒの…
また会ったな。
あの時のクトリガルのガキはどうなった?
無様に死んだか?」
「!」
「お前が怒ることないだろう。
あいつが死んだところで、
誰も悲しまない。」
もうコイツ死ねばいいのにとか思っちゃうシーンですが…このシーン、「義手」をすごく印象的に見せているんですよ。ナイフを止める、「守る手」としての義手も、あまりの憎らしい言葉に首を絞める、「怒りの手」としての義手も。ここもまさしく、ヴァイオレットの「二つの在り方」を問うシーンになっているわけです。ヴァイオレットは途中で思い直し、首を絞める手を緩めるのですが、そこで「助かった」というのがまた憎らしいですね。ま、その直後に一発でのされてますが。
「思い出した。私はアレを戦場で見たことがある。
ライデンシャフトリヒの戦闘人形。」
メルクロフ准将の言う「戦闘人形」という言葉は、当然、本作の「自動手記人形」という言葉との対比です。これだけで、ヴァイオレットの「二つの在り方」を、嫌でも思い知らされます。
「また、戦争を始める気ですか」
「お前の中で戦争は終わっているのか?」
「………………………」
「ふん、心当たりがあるようだな。
私もお前も、
暴力の記憶は火傷のように残って
永遠に終わらない。」
まるでこの准将の言葉に抗うように、エイダンの両親が、そしてマリアが、エイダンの死の知らせを聞いて泣き崩れるシーンを回想させるのとか、もうたまんないです。ヴァイオレットの中での「二つの在り方」の葛藤に近いものなんですよ。火傷の痛みを知り、その辛さの中から一度は立ち直ったヴァイオレットが、またここでも心の中で戦っているわけです。
そして、「もう誰も、殺したくありません」とつぶやき、少佐の思いの証=瞳の色のブローチの煌めきから、意を決して「殺さずの戦い」へ身を投じるヴァイオレットが…。
圧倒的な戦力を持ちながら、しかし敵の兵士の命までも守りながら戦うことは、彼女に劣勢をもたらします。そりゃあムリだよ、ヴァイオレット…しかも、自分の命よりも大事と思っていた少佐の、その思いの証であるブローチが宙を飛び、それに気を取られてしまっては、もはや彼女は敵の暴力に屈するしかなく。
長剣を手に、一歩ずつ近づく准将。
その手に光る、少佐の瞳。
「少佐……
私は…私は…」
「二つの在り方」の間で揺れ、殺さずを貫こうとしたが果たせず、ここで終わろうとしているヴァイオレット…そのヴァイオレットが、心中で少佐に問いかけるこの描写は、もう胸が苦しくて苦しくて、どうにもならんくらいでしたよ。「来週もあるし、ここでヴァイオレットが死ぬわけは無い」と身も蓋もないことを思いながらも、「死に瀕して、これで良かったのかと自分に、いや、自分よりも大切な少佐に問いかける少女」とか、見ているこっちが辛すぎて死にそうだよ。
そこに間一髪!大佐が助けに入るのですが、そこで三たびの、大佐とヴァイオレットの対峙が描かれます。
「自分すら守れないくせに…
不殺とはおこがましい!
オレの弟ギルは…
そんなヤツを守ろうとしたのか!」
「もう誰も殺したくないのです!
少佐の命令は生きろであって、
殺せではありません!」
……………ああああああああああああああああああ。
「戦わない…殺せない戦闘人形など
ただの足手まといでしかない!
だからギルベルトも守れなかったんだ
お前がギルベルトを殺したんだ
だからお前も死んでしまえ!早く死ねえ!」
「少佐は…それでも…生きろと…
仰ったのです。
守りたかった…。
私も、守りたかったんです!!」
あああああああああああああああああ!!
もうダメ…もうダメだよ、そんな辛い対話…「ふむ…これもまた二つの在り方のせめぎ合いの描写ですよね」とかスカした論評などしてられるかああああああああ!!!!
しかしそこへ、先ほどヴァイオレットにのされたイシュトルがやってきて、大佐に撃たれながらも砲撃を放ちます。
イシュトルの撃とうとしているものに気付くヴァイオレット!
大佐の前に出て「守ろう」とするヴァイオレット!
驚愕する大佐!
引かれる引き金!
一閃!金属音!爆発する砲弾!
……このスピード感よ……たまんねぇですよ……クオリティ高すぎでしょ……。
煙が次第に晴れて、まず無事な姿の大佐が見えて。
ヴァイオレットは、ヴァイオレットは無事なのか?!と思う間に、徐々に見えてくるヴァイオレットは。
弾を防いだ義手の向こうに、強い意志を宿した瞳を輝かせて。
ふんぬぐわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
義手!この義手が!!今話中で「二つの在り方」の間にあるヴァイオレットの、「守りたい」の思いの強さを表したり、時には「守る」「怒り」の双方で揺れる描写も積み上げられてきた義手が!!!今話ラストで、「これが私の答えです」とばかりに、こうして確かに「守ってみせる」とか!!!!
そうか、だからオレ、見終わった時に泣いてたんだ…。
壊れてない、とか言ってましたっけ。あれね、ウソです。
だばぶらびやああぐらばぶえぼらばわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
………ああ………ようやく書き終えた……これで安心して最終話に臨めます。そのラストで明らかになるはずのサブタイトルで、一体何が示されるのか。彼女が出した結論は、彼女自身を、そしてこの世界を何処へ導いていくのか。最後の最後まで、しっかりと見届けたいと思います。
↑楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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