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Old Dancer's BLOG
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キルラキル 第21話「未完成」
 「純潔」と言う名の欺瞞と、「鮮血」と言う名の真実。

 今話の冒頭とラストを占めるこの二つのモチーフの対比が、実に見事で唸りました。

 アバンの、何だかエロティックなイメージに満ちたシーンは、妙に白っぽく作られているんですが、これはどうやら神衣・純潔の「白」のイメージなんですね。名前こそ「純潔」ですし、カラーもその名の表す白で統一しているんですが…何が純潔なものかと。中指と薬指を曲げて、奥をまさぐるような手つきやら、秘所をこじ開けるような、厭らしいV字の指使いやら(いわゆる「くぱぁ」というヤツですな)…これはもう、「凌辱」の領分じゃあないですか。純潔の名の下に、羅暁と針目は、流子の大切なものを犯してるってことなんですよね。

 このカラーと完全に対称になることを意図しているのが、ラストシーンの真っ赤に染まる流子の姿。

 自らの「鮮血」で世界を赤に染めながら、呪縛から解かれていく流子は、ようやく羅暁たちの凌辱から解放され、己の意思で雄々しく立つ、「人間」としての矜持に満ち溢れています。そうするためには、血を流し、痛みを伴ってでも自立することが必要で、しかしなお、その先のゴールへ至るためには「鮮血を着なければならない」。先の、自我を操られて無理やり純潔を着せられていた姿も「未完成」なら、ラストの、まだ鮮血を着ることができないでいる姿も「未完成」なわけです。いやぁ、美しいですね。運びの上手さで、それでなくとも異様に盛り上がる今話なんですが、大構造がこうやってしっかりしているため、何度味わい直しても飽きることがありません。ジャスイストへのご褒美と言っても過言ではないでしょう。
 
 また、ラストシーンの「血の赤」にも、性的なイメージがかぶせられているんじゃないか、と思います。

 前回、羅暁たちが流子の心を犯していく際に、流子に誤った幼少期の記憶を植え付けていくようなイメージが流れていたのを覚えていますか。あれは、流子が未だ「幼な子」としての、成長途上の少女であることも同時に表しているんです。そして今回のラストは、「血で赤く染まる女性」。更にそこに立つのが、自立した=成長を遂げた流子。とくれば、これはもう邪推すんなってのが無理なくらい、アレかアレだなと思っちゃうじゃないですか。

 可能性の一つは、「初潮」。そしてもう一つは、「破瓜」。どちらも、「少女」が「大人の女性」に成長する際に血を流す、象徴的なイベントです。最終的にどちらなのかは迷いどころですが…死ぬほどの痛みを伴っていることから、私は「破瓜」の方かなと思いました。アバンでの「凌辱」は、血を流すには至っておらず、偽りの「オトナ遊び」。しかし最後の、自ら純潔を破り捨てて(この含意がまた燃える!)、血を流しながら立った流子の姿は、「真に大人になった人間」ということなんですよね。

 小技の部分でも、象徴的なモノが光る、こんなカットが。

 マコと鮮血が流子の中に殴り込みをかけた時、マコと鮮血にぶっ飛ばされたドアの取っ手が、ウェディングドレスを着た流子の足元に転がるカットが挿入されています。この後、ドアをぶち破ったマコと鮮血はドアを開け、流子に迫るのですが…。

 この「ドアの取っ手」が流子の足元に落ちてるカット、ストーリー上は省略可能なんですよね。無くても成立するんです。なのに、こうしてわざわざ描かれてるってことは…このカットによって表現したい「何か」が存在している、と思った方がいいわけです。

 「ドアの取っ手」は、異なる世界へ出ていくためのものです。これを掴み、ドアを開けることで、人は次の世界へと出ていくことができます。流子も、ドアの取っ手を掴んで、自らドアを開いていけば、今のこの、欺瞞に満ちた白い世界から出ていくことが可能なはずなんです。

 しかし、流子はその「ドアの取っ手」を手に取ろうとはしません。自らドアを開ける意思を、示すことができないでいる。しかもご丁寧に、この「ドアの取っ手」は壊れていて、ドアに繋がっていなかったり、軸の片方が折れていたりと、「不完全なカギ」としての無様な姿をさらしているんですね。

 結局流子は、友の力を借りて、血に染まる過程を経てしか、外の世界へ繋がる扉を開くことは出来ませんでした。それが、「人間としてのマコ」「服としての鮮血」の両方の血であったことにも、大きな意味があると思います。

 「服と人は友達になれる」

 シリーズのラストステージに繋がる道が、僕らにも見えてきたような気がします。さ、あと数話、終わるのが寂しくもありますが、来たるべき怒涛の展開に、振り落とされずについていきましょう。
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テーマ:キルラキル - ジャンル:アニメ・コミック

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