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Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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AIRにおける「3人」の構図について・壱
 ずっと前、BS-i版放映時から書いてみたかったネタなんですが、オレにまとめあげられるか自信ないなーとか、まだアニメが終わってないのに先走ってもなーとか、色々邪魔な思念が入って書かずにおりました。その後も、放映終了と相まってAIR関連のアクセスが順当に減り、記事を書き上げる気力もないまま、なし崩し的に日が過ぎてしまいました。しかし、

 コレじゃいかんだろうと。

 未だに「鳥の詩解釈」関連に少なからずアクセスがあったり、劇場版アンケートに多くの関心が寄せられている現状を見るに、まだまだ世の中にAIR記事のニーズは存在するのではないか。いやいや何よりお前は一介の使徒としてこれで満足なのかと改めて自問するに至り、今一度自身を鼓舞して奮い立つことにしました。ここに、かつて時期尚早を理由に自ら封印した文章を紐解き、重い筆を取ってみることにいたします。
 以下に続ける文章の目的は「AIRの物語全体を流れているある構図について解釈を試みること」であるため、基本的にはネタバレが多く含まれます。従いまして、ネタバレを嫌う方は、退避される事を強く推奨いたします。また、この文章は個人的な見解を示したものであり、誤謬や思い込みが多分に含まれる可能性があることをご承知おきください。

 さて。AIRにおいては、いくつかのストーリーが絡み合って一つの絵に収まるという、大きな構成美が存在しますが、その中で各ストーリーの中核をなしながら、それぞれを横につなぐ重要な要素となっているのが、主要登場人物の「3人の絆」という部分だと思います。この「3人」の重要度は、ゲーム版で最も高く、劇場版ではほとんど重視されません(てゆーか、雲散霧消?)。BS-i版はゲーム版に準じて、という具合です。従いまして、下記の文章をある程度納得していただくためには、出来ればゲーム版を、少なくともBS-i版を体験済であることが大前提になると思います。

 以下、ゲーム版の各シナリオに沿って、絆を形成する「3人」を列挙してみます。

シナリオGameキャラAキャラBキャラC
佳乃編DREAM霧島佳乃国崎往人霧島聖
美凪編みちる遠野美凪
神奈編SUMMER神奈備命柳也裏葉
観鈴編(DREAM)
AIR
神尾観鈴(国崎往人)
そら
神尾晴子

 観鈴編を最後に持ってきたのは、最も重要なシナリオな上、AIR編までプレイしないと構図が明確にならない(観鈴と晴子との関係が全て描かれない)ためです。

 「美凪編のとこ、間違ってるんじゃない?だって、キャラAってそのシナリオのヒロインでしょ?」と思われた方もいるでしょう。しかし、私はこれで正しいと思います。と言いますのは、各シナリオにおけるABCの人物は、その役割に以下のような共通点があるからなのです。

 A:「空にいる少女」と密接に関連する存在
 B:Aの少女を助ける、恋人もしくは友人(不在の父の役割を補完)
 C:Aの少女を助ける、不在の母に代わる存在

 ここで、B及びCが「父母の役割を補完」していることに注目。そう、これは言わば「擬似家族」です。よく「AIRは恋愛シミュレーションではない」と言われますが、それはストーリーが「ヒロインとの恋愛成就」よりも、「擬似家族の絆の形成」の方に重点を置いているからなのです。

 各シナリオにおいて、登場人物が「擬似家族」を必要たらしめるために、ABCの各キャラクターは共通する設定を背負っています。今回は、Aについて簡単に見てみましょう。

【Aについて(1)~父母の不在と願望】
 Aが幼い頃の死別もしくは引き離された等の理由により、Aの真の母親は不在なだけでなく、A自身が母のことをほとんど知りません。そのため、Aは「見知らぬ母」に対する思いを奥底に持つ存在として描かれています。そしてもう一つ。真の母親の生死に拘わらず、Aは真の母親と親子である名乗りを上げることが非常に困難な状況に設定されています。このAの境遇をいかにして救い、いかに心を満たしてあげられるか。それが、各シナリオの帰着点と大きく関わる部分だと思われます。

 なお、Aは父親も不在なのですが、これはシナリオによって割と扱いがまばらな印象を受けます。観鈴編の敬介はかなり重要な役割を担っていますが、その他については…佳乃の父は数年前に他界、みちるの父は母と離婚して他で再婚、神奈に至っては父が誰であるのかさえ触れられていません。いや、むしろ逆に、物語の起点である「神奈」において父の存在が重要でないため、他のシナリオでも父の存在を重視していないのかもしれませんね。

 とにかく、そのように父母が不在であるため「真の家族」を得ることが出来ないAは、「擬似家族」との間に「真の家族」以上の結びつきを形成しますが、話はそこでは終わりません。その先には困難であったはずの「真の親子の対峙」があり、そしてほぼ同時に「別れ」が訪れます。別れの形はシナリオにより様々ですが、一つ共通していることは「真の親子との対峙があったにもかかわらず、擬似家族の絆は全く色あせることが無い」という点でしょう。このことは、「家族の価値は現実の血のつながりの有無によって決まるものではない」というテーゼを示していると思われます。AIRが「家族」とは何かを追求した作品であると言われるのは、この部分によるものなのでしょう。

 以下に、この考察を各キャラに当てはめてみます。個別に見てみると、上記のような共通点を背負いながら、そのモチーフの折り込み方は非常にバリエーションに富んでおり、一見してそうとわかる状態にはなっていないのが見て取れます。この辺は、シナリオライター=麻枝氏・涼元氏を初めとするチームの技量の高さですね。なお、観鈴編に限っては、最後に対峙する真の親が何故だか「母」でなく「父」なのですが、その真意については私自身が未消化なので、その部分の解釈は今回は割愛と言いますか棚上げにさせて下さい。もし私自身が納得のいく程度まで読み解くことが出来たなら、その時にでも書き起こしてみたいと思います。

○佳乃編A~佳乃
真の母親佳乃を生んですぐ寝たきりになり、佳乃が3歳の頃に死別
再会への障害母が死んでいるので元来は不可能
再会の方法「羽」の力と往人の法術を介して、空にいる母と対話
別れ方そのまま空に留まることを佳乃自身が望まず、母にはお礼を言って別れる

○美凪編A~みちる
真の母親美凪の母として存命
再会への障害みちる自身が母が死産した子であるため、名乗りを上げるのが困難
再会の方法躊躇するみちるを美凪が家まで連れて行き、引き合わす
別れ方真の親子の名乗りは上げられないが、みちるは幸せな記憶を手にし、空に持ち帰る

○神奈編A~神奈
真の母親母・八百比丘尼とは小さい頃引き離される
再会への障害翼人を利用・恐怖する人の手により、お互い幽閉の身
再会の方法柳也と裏葉の協力により社殿から脱出し、幽閉先の霊山へ侵入、再会する
別れ方逃避行もつかの間、母は射抜かれて絶命する(死の間際、翼人の力の伝承と親子の対話を果たす)

○観鈴編A~観鈴
真の親母・郁子は観鈴を産んで間もなく死亡、父・敬介は観鈴を晴子に預けており不在
再会への障害人の多いところでは観鈴が癇癪を起こすため、父の住む都会での生活は困難
再会の方法観鈴が病んでいるのを見た敬介が連れ帰ることを決意
別れ方真の父親である敬介よりも、深く心を通わせた晴子を観鈴自身が選択

 神奈編を除き、別れがA自身の選択の結果であることもポイントでしょうね。神奈編に於いては神奈自身が母との別れを望んだわけではないですが、神奈の意志により母を連れ出したことが結果的に永久の別れを招いている、ということなのかもしれません。いや、これはさすがに穿ちすぎですね。

 非常に長くなりましたので、今回はこの辺で。なお、最近私のお友達「あると屋」さんが立ち上げた『AIR』を読み直すというブログにて、上記の話と密接に関連するキャラクター間の共通した行動・セリフについて、わかりやすく列挙されていますので、是非ご一読下さい。こちらはブログのイントロダクションに「実証主義的に理詰めで考える」と記されているとおり、「事実の整理→結論」という流れがしっかりしている分、私の駄文(←印象主義?(^^;)よりもかなり納得できる内容になっています。まさにこれから考察の本題に入っていくところですので、通読されることを強くお勧めいたします。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

コメント
この記事へのコメント
゜Д゜)∩はいはいは~い
毎度ながら、考察記事は楽しく拝見しております。


俺が思うに、美凪編、キャラ配置の2種

 美凪-往人-みちる

(美凪-みちる-往人 かもw)
   

これもアリかな と。
Aの「解説部分=翼を持つ・・・」には当てはまらないのですが、彼女もある意味、「真の親子の対峙」があると思うのです。

ああ、でも霧島佳乃の例でもあるように、密接とは何処までを指すものかがキモですか。美凪も「翼人画」に願いを掛けたという点では、無関係とも言い難い気もします。

>別れがA自身の選択の結果であることもポイント

母親とは別れてはいませんね・・・みちると往人とは別れましたが。

今更ながらにこうして見ても、霧島佳乃編、不思議な創りをしていると思うのは、俺だけですか?(w
2005/09/02(金) 21:57:21 | URL | ごす #ilk/GieM[ 編集]
あ、解った
キーワード

「ありがとう お母さん」

なんだな。きっとそうだw
2005/09/02(金) 22:06:47 | URL | ごす #ilk/GieM[ 編集]
ダメよ、先走っちゃw
あー。実は今回、初期の文中には入れてあったけど、流れを壊すので取り除いた字句があるのですよ。

「美凪編にはもう一つの親子の対峙が描かれる二重構造が存在するのだけど、それはまた別の機会に云々」という感じの。

というわけで、美凪編に関して頂戴した言及内容は、申し訳ないけど今回は軽~く流させて頂きます、うふふ。

佳乃編については、私はさほど不思議とは思ってないのですけどね、佳乃自身については。ごすさんが言われたように

>「ありがとう お母さん」

を始め、色々と神奈に絡む部分には事欠かないものですから。むしろ、白穂親子の扱いがまだ私の中ではきちんと定まりません。いずれにせよ、最後まで全部きっちりと考証が終わっているわけではないので、まだまだゆらぎはあります。きっと。
2005/09/02(金) 22:22:40 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
がまん汁~~(´Д`;)
>白穂親子の扱い

Keyワード

「母性」  (若しくは「母子」)

なのではないでしょうか?
我が子のために自らの命を賭しても決して構わない、といったような母親の心。
八尾比丘尼と神奈、佳乃の母親と佳乃、形は違えども子供の為に命を掛けた(落とした?)母親の愛・・・という俺の見解です。
2005/09/03(土) 23:51:51 | URL | ごす #ilk/GieM[ 編集]
しる、っすかw
母性、というのは正しい見解だと思います。

ただ、

佳乃編に白穂親子の話が何故絡んだのか、佳乃姉妹にシンクロした部分はどこなのか、翼人の逸話と絡んでいる部分はどこなのか、…と追求していくと、結構な迷宮なんですよね、コレ。その辺が読み解けないがために、佳乃編が「オマケ」扱いされているきらいもあるんで、そこはしっかり解き明かしたい部分でもあるんです。


現在のところ、そこをかく予定はないんですけどね(汗。
2005/09/04(日) 00:45:14 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
観鈴の母との対峙
観鈴は父親との対峙はあるけど、母親との対峙は無いと書かれてますけど・・・果たしてそうでしょうか?

私の中では、観鈴も母親と対峙しています。
浜辺のシーン・・・彼女は叫んだでしょう『ママー』と・・

他のキャラは本当の親との再会でしたけど、観鈴は”本当の母になってくれた人との邂逅”だと私は思います。

観鈴の邂逅への障害は、記憶喪失
方法は、あの浜辺のシーン総て
別れ方は、母親をゴールとし、自らの思いを空へと届ける・・・

こんな感じでしょうか?
2005/09/06(火) 00:58:39 | URL | お久しぶりの結城レイ #-[ 編集]
短めに
えっと、書き方が悪くてわかりにくいのかもしれませんけど、私が「母との対峙がない」と言っておりますのは、あくまで血の繋がった「実母との対峙」です。

また、晴子さんが実母にも匹敵する存在になったことを否定しているわけでもないです。そのようにして「実の家族をも越える絆を形成する」というのはAIRの重要なモチーフの一つですからね。

いずれにしましても、まだ途中ということもあって、私の頭の中にはあるけど説明してないことが多いもんですから、誤解されるところがあるのは致し方ない部分かと思ってます。続きはまたそのうちにきっと。←説得力ないなー。
2005/09/06(火) 01:35:37 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
説得力ないなー。(w
まだまだ放置中の企画、沢山あったよねw

俺が霧島佳乃編、不思議な創りをしていると思うのは、白穂との事なのです。
何故あの親子なのか?また、翼人と直接、転生等の関連が薄いという点。解けずに現在に至ります。
2005/09/07(水) 19:12:31 | URL | ごす #ilk/GieM[ 編集]
わかってっから言わないでーorz
>まだまだ放置中の企画、沢山あったよねw

言うなー。泣くぞ?泣くぞ?

>何故あの親子なのか?また、翼人と直接、転生等の関連が薄いという点。解けずに現在に至ります。

「あの親子」っつーのは「白穂親子」のことでいいんですよね?何故、と言われれば、あの親子が羽根に触ったからなんでしょうけども、そういう意味を聞いているのではないですな。orz

ストーリー上、あの親子と絡ませる必要があったのか。私はあると思います。ポイントは、同じ羽根に触っていながら、聖は影響を受けず、佳乃だけが影響を受けた点。羽根に蓄積された想いは、佳乃を選んだということになります。それが何故かと言えば、佳乃が「母」を求める強い気持ちを持っていたからなのでしょう。それが、「子」を救うために死んでいった白穂の想いとシンクロしたのだろうと私は思っています。

翼人との転生関係については、まだ考証の余地はあるかもしれませんが、どうやら無さそうと思っています。また、羽根から何かの影響を白穂親子が受けたということもなさそうです。白穂親子の想いが羽根に加わって、神奈の想い共々佳乃に影響を与えた、というのが目下の自分なりの考え。ああ、もったいねぇ、コメントで語っちまったよ(笑)。言葉足らずなところも多々ありますが、詳しくはまたそのうちにきっと。←ホントに説得力ないなー。w
2005/09/07(水) 19:40:43 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
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2005/09/03(土) 20:16:50 | 『AIR』を読み直す