「欲」ってヤツぁ、なかなか御し難いモンであります。三大欲求は殊更に難しいですが、それ以外も、どうしようもなく難しい。

　自分の中には、様々な欲が渦巻いています。その全てが実現されるわけではありませんから、ある程度の折り合いをつけながら生きていく以外にないんですが、それでも、どうしようもなく湧き起こる衝動とか、やり場のない満たされぬ辛さとか、そういうものに苛まれる時というのも、あるわけで。ああ、何もエロい衝動に身を任せそうになるようなことを言ってるんじゃなくてね（汗）。

　例えば、です。私は、自分自身の出世には、興味がない人間だと信じておりました。今でも、それほど出世に対してガツガツしている方ではない、と思っていますが…一時期、それが非常に疑わしく思える時がありました。私と同じ年代の人間が大勢昇進する中で、私が数少ない、昇進しないうちの一人になったことがあるんです。ほんの数年前。そうなった理由は職場の人繰りにあり、私自身にあったわけではない、平たく言えば、私の落ち度に基づくものではない、と思っていますし、周囲の人も概ね同意見でしたから、それを信じる限りは、私が落ち込む必要はなかったはずです。ですが…鎌首をもたげてくるんですよ、「自己承認の欲求」というヤツが。ひょっとしてオレ、今やってることを全然評価されて無いんじゃないか？ダメなヤツ認定されてるんじゃないか？そうじゃない、そうじゃないだろ、といくら自分をなだめてみても、一向に渇望と焦燥が治まることはなく。業が深い生き物だなぁと思いましたね。

　意識しようとしまいと…欲という怪物は、常に我が身の内にあります。そのことを、決して忘れることなく、過ごしていきたいものです。