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Old Dancer's BLOG
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境界の彼方 第12話「灰色の世界」
 越年してしまったことが悔やまれますが…境界の彼方最終話のレビューを遅ればせながらお届けします。

 京アニならではの素晴らしくバリバリ動くアニメーションに目を奪われつつ、私は「意味」の方を求めてしまいました。これが、なかなかの難物でして…一息にスパッと切らせてくれないんですね。この作品の特徴の一つですが、伏線の張り方が難しくて。よく言えば「独特」「個性的」「先を読ませない」とも言えますが、悪く言えば「伏線として非常に分かりづらい」「それと分かるまでに時間がかかりすぎる」「単体で見た時に意味が分からない」とも言えます。

 例えば、第10話「白の世界」で出てきた抜け殻のような秋人の手を頭に乗せる未来、という伏線は今話で回収されているわけですが、あれが伏線として納得できるものだったかと言えば、賛否あるような気がするんですよね。今こうして俯瞰すると、分からないわけではないんです。分からないわけではないんですが…何かが違う気がしてしまいます。

 こういう部分が、この作品は実に惜しいと言いますか…「もうちょっと」のハンドリング次第で、説明不足と断じられることも減るだろうし、伏線回収の際のカタルシスも大幅増量しただろうにと思うところもいっぱいあって…個人的には、その「もうちょっと」欲しさが最後に残ってしまう、そういう作品でした。これが「作風」なのであれば「そういうことなのだ」と納得しますが…もしそうではないのであれば、私は次にはもう一段上の「境界の彼方」を見たい、と強く願います。先にも述べたように、非常識なほどバリバリ動くアニメーションには、何の不満もありませんので…引き続き応援したく思います。

 …うん、どうにも「もやっ」というコメントになってしまいますね。致し方ありません、これが、今の私の正直な感想です。

 さて、感想は感想として…それなりに読み解けた部分や読み解こうとした部分を、少々、以下に書き連ねておこうと思います。
 
 今話は、第10話「白の世界」と第11話「黒の世界」に続く、解決編としての第12話「灰色の世界」なのだと思います。

 ただ、これを「解決編」と呼んでいいのかについては…なかなか、難しい部分が残ります。

 割と単純に切って良さそうな部分としては、白=善(或いは異界士・人間側)、黒=悪(或いは妖夢側)と置いて、それが共存する世界=灰色の世界がこれからも続くということは、言っていいと思います。ただ、そういう含みが、特に第10話には乏しんですよね。第11話は辛うじて「闇の側面」というものを描写している、と思うんですが、第10話が善に満ち溢れた話だったかと言うと…未来の心情の種明かし部分がそうだった、未来の心情こそが善の描写だったのだ、と「言えば言えなくもない」という状況なのが、なかなか辛いです。

 また一方では、ラストシーンに至る秋人のモノローグでは、「未来のいない世界」のことに触れられてるんですが、ここの解釈がまた壮絶に難しい。未来がいない、という灰色の気持ちを言っているもの、と思えば思えますが、でもなー。未来の犠牲の上に続く自分の生、ということにも触れていますしね。それだと、天秤が釣り合ってない、と言いますか…何で私が困っているかと言えば、要は、灰色すなわち「白と黒がイーブンで混じり合ってる」という部分に、微妙に手が届かないんですよ。第11話のレビューで、白の世界で描写されたのが未来の心情、黒の世界で描写されたのが秋人の心情だと解析してしまったために、これが今話ではあまりにも綺麗に外れ過ぎてて(苦笑)。あれー、解釈、完全に間違ってたんじゃないかーと頭を抱えての年末年始。いや、よしましょう、遅れた言い訳にするのは。

 この辺は、どうにももやっとしていて、二週間近く頭を悩ませましたが結論は出ませんでした。残念ながら断念いたします。orz


 ただし、これはいいな、と思った部分も一つ。

 白と黒、それを人間と妖夢の対立の構図に当てはめると、今話で大きくクローズアップされる部分があるんですよね。名瀬泉と藤真弥勒の対峙がそれです。この二人、同じ穴のムジナかどうかはさておいても、「実は妖夢を体内に飼う人間同士」ということが明らかになりまして。まさしく「灰色」なんですよね。彼ら自身がそれぞれに「灰色」であるという点もさることながら、妖夢側のどす黒い念に屈したと言われている藤真に対して、人間の誇りを失っていないと抵抗する泉、という図式もいい。しかもこの決着、どっちが勝ったとも、どうなったともはっきりしていなくてそれも含めて全てが「灰色」です。いやー、美味しいモチーフですなー。かねてこの二人、それぞれに異なる「冷たさ」「暗さ」をピックアップしてきていましたが、ここでこうして落としてきたのには、正直ビックリしました。あれ、ひょっとして主人公ってこの二人だったかーみたいな(違)。

 もちろん、泉と弥勒が主人公なわけはなく、主人公は秋人です。この「泉」と「弥勒」の対立の構図は、「秋人」と「境界の彼方」の対立の構図と、絶妙に対比されているんですよね。泉と弥勒は、どちらも「過去の後悔を引きずっていく者たち」として描かれています。でも、秋人は違う。彼らは、過去の後悔に引きずられないで、前を向いて進むという道を選んでいます。その上で、秋人は「外に出さない」「全部持っていく」ことを決意して、ほぼ白=人間の状態から、灰色=元の半妖に戻るんです。

 ここに、未来の行動・意思が関与しているところが、ラストのハッピーエンドに繋がるのでしょう。秋人一人では、「前を向いて進む」というところまでたどり着けなかったでしょうから。灰色の世界を前を向いて進むためには、未来のような存在が必要なのですよ。それが、泉や弥勒と、秋人とを隔てる部分なのでしょうし。未来が秋人からその血を肯定してもらうことで救われたように、秋人も未来からその存在を肯定してもらうことが必要なのだと思うのです。

 だから、消える寸前に未来が願った、「秋人に頭をなでてもらう」シーンは、胸に刺さるんですよ…。ここは、京アニの壮絶な描写力と、声優さんの演技力とが相まって、とんでもない破壊力でした。「嬉しいなぁ…嬉しいなぁ…」って泣くっちゅーねん!!「嬉しいなぁ…嬉しいなぁ…」って泣かずにいられるかっちゅーねん!!


 最後の、「未来が何故復活し得たのか」については、ホントはちゃんとした説明が欲しいところです。が、恐らくそれがどこかで描かれることはないだろうと思いますので、「自力で補完するか」「ご都合主義と思って割り切るか」の二択しかありません。私は…前者を選びました。境界の彼方と刺し違える形で消える運命となった未来なのだから、その境界の彼方が元に戻ることで、「消える意味を失った」というのがそれです。でも、それだと、秋人が言うような「栗山さんが頑張ったせい」にはならないのが惜しいんですけどね。(^_^;

 ともあれ、この灰色の世界を歩いていく灰色の二人が、再び出会いました。

 白=善なる思いもしくは人間としての本性をその胸に抱き。

 黒=呪われた定めもしくは妖夢としての存在をその身に沈め。

 彼らは行きます。善とも悪とも割り切り切れぬ、この灰色の世界を。善と悪、白と黒との境界線を、遥か彼方まで見据えると…そこにはやはり、灰色の世界が見えるのではないでしょうか。



 惜しいと感じた部分もあるものの、新境地を目指そうとした部分もあちこちにあり、意欲溢れる作品だったと思います。制作スタッフの皆様、大変お疲れ様でした。また彼らに出会える日が来るのを、心待ちにしております。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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テーマ:境界の彼方 - ジャンル:アニメ・コミック

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