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宇宙戦艦ヤマト2199 第十八話「昏き光を越えて」
 さぁて。今週は二話もあるんで、とりあえず一つ目をサクサク行きましょう。溜めるとロクなことにならないですし、二週間もあるから、なんて油断すると、あっという間に過ぎちゃいますしね。

 今話は、サブタイトルの「昏き光」という表現が、今話を読み解くポイントの一つでしょうか。「暗き光」ではないし、そもそも「昏い」のに「光」って、矛盾じゃないの、という。

 一つには、この「昏き光」は、バランのことを指している、という解釈が成り立つと思います。何故なら、バランは自分で発光することのない、人工星。光らない=昏き、星=光ということですね。そのバランを越えて、ヤマトが大マゼランへと到達する今回のエピソードにピッタリのサブタイトルです。

 二つ目には、「昏い(または暗い)」という言葉には「暗くなって(先が)見えない」という意味が含まれることから、「何万光年も先へ行けるけれど、その先がどうなっているのかわからないワープゲートのこと」を暗示している、という解釈が成り立ちます。また、「光を越えて」という言葉はそのまま、「光速を突破して」という置き換えができますしね。何万光年も先の、状況が見えないところを一気に駆け抜けて…という意味合いに、その見えない部分を決死の覚悟で偵察し、そのもたらした情報でヤマトを活路へと導いた篠原副隊長。彼がフィーチャーされた一話として、これまたビシッとはまるサブタイトルです。
 
 三つ目として…「道理がわからない」という意味が「昏い」にはあるんですよね。「昏迷」=分別なく迷う、という熟語などからも、その意味は類推していただけるかと。この辺は、策謀により自分がデスラーの後に取って代わろうとしたゼーリックの横暴を思い浮かべると、ストンと胸に落ちるんじゃないでしょうか。道理を無視した、偽りの栄光…それこそが「昏き光」であり、その一連の愚行が露呈したゼーリックが配下のゲール(ダメダメだったはずの彼が何だか妙にかっこいい!)に射殺されるに至って、ようやく越えられた、という。ガミラス側のゴタゴタをも指した言葉と考えることで、このように更に深みが増すわけです。

 実は、ガミラス側の描写と合わせて考えたい部分は、他にもあります。「黄昏」という言葉に「昏い」の文字が入っているように、元々「昏い」は夕暮れの暗さを表す言葉なのだそうです。つまり、斜陽、これから日が陰っていく状態のことも暗示している可能性があり、それを考えると「昏き光」は、「人々を虐げて国家を保とうとしているガミラスの、傾きかけている現状の威光」という見方ができるんですね。その一例として、今話では収容所惑星への収監を逃げ出そうとして射殺される家族と、それを金網越しに心乱しつつ見ているメルダ少尉が描かれているわけですが…彼女はこの「昏き光」を越えていけるのかどうか。


 等々、ジャスイストには実に美味しい、多角的な意味合いをもたされたサブタイトルが効いた回でしたが…本編の内容も濃かったですねー、いや実に。劇場で見ていた時には篠原の帰還までで正直終わりだと思っていて、「アレ?まだ時間あるの?あれ、一体どこまで描くの?」と思ってるうちに…あの展開ですよ。拳、ギュー握りしめて、涙腺にガンガン色んなものが立ち上ってきて、あー!あーあー!ああああああああーー!とか叫びそうになって……。

 さすがにやらなかったけど、もし同志がいて自然発生的に拍手でも鳴ってたら、オレも間違いなく手ェ叩いてたね!いやもう素晴らしい!


~~~


 劇場での鑑賞と言えば。


 この第十八話は、第五章のラストを飾るエピソードなんですが、第五章の最初は第十五話。あの、ドメルがヤマトを寸前まで追い詰める話なんですよね。

 実はこの二つのお話、対になっているんです。

 一つには、そのどちらもが「ガミラスの艦隊が密集する中を、ヤマトがただ一隻で辛くも突破しようとする話」です。そしてここには、どうしようもないくらいかけ離れた対比が存在していて。あたかも詰め将棋のように、きっちりとヤマトを追い込む目算と算段を立て、ほぼその通りにヤマトを追い込んでいったドメル。片や、物量のみを頼った大艦巨砲主義を信奉し、道理もなく策もなく、密集した友軍の被害も厭わず、ただヤマトを「力でねじ伏せん」という方針のみであたったゼーリック。どちらが指揮官として優れているかは、明明白白なわけです。そのことが、両方の戦いぶりを直に見ているゲールには、はっきりとわかるわけなのですが、そのことを知らずにただ結果のみを指して「この程度の船一隻沈められなかったとはぁ、狼の名も落ちたものであるなぁ、ドメルよ…」などと独り言ちるゼーリックが、実に滑稽に見える仕掛けになっているわけです。

 また、二つ目としては、そのどちらもが「この限界的なシチュエーションにおいて、沖田艦長がその類まれなる才覚により、ギリギリの突破口を切り開く話」でもあります。そしてまた、これも実にいい対比が効いていて、その突破の仕方が第十五話と第十八話では、全く逆なんですよね。前者は完全に罠にはまって、もう悲壮と言っていい状況の中で、針の穴を突くような道を沖田艦長は行くわけです。このスリル、越えられるか越えられないかという緊張感がたまらなく、しかし先行きは決して明るくなくて、ハラハラだったのですよ。一方、この第十八話は、あらかじめ狙い澄ました策に則り、雄々しくヤマトは進攻するわけです。ここに乗せたBGM~おなじみのヤマトのメロディがまたバッチリ決まっていて、どちらかと言うとヤマトの猛攻にワクワクさせられっ放しなわけです。

 このように、よく似た状況にありながらも、全く異なる対比をきっちりと仕込むことで、第十八話は単体の一話ではあり得ないほどの、非常に高いポテンシャルを見る者に感じさせてくれるわけです。

 そしてまたもう一つには…第十五話で、ドメルが済んでのところで撤退せざるを得なくなったのも、この第十八話で、撃ち損じたヤマトがバラン星のハブステーションを壊滅に追い込んでしまったのも、突き詰めればゼーリックのせいだった、というのが効いています。この第十五話以降においては、ゼーリックは「謀略の象徴」なんですよね。これは、「謀略によって我が意を通さんとする者に対して、勝利の女神が微笑むことはない」というテーゼが隠れている、と見ることも可能です。

 これ、第十六話で描かれた、ヤマト内の謀略辺りも、近接するテーマとして響き合ってる気がするんですよね。この辺の相互に絡み合うテーマ同士の「和声」もまた、ヤマト2199シリーズの大きな魅力かなと思っています。





 旧作ヤマト2で描かれていた、「重力アンカーを切って波動砲の反動を利用して難関を突破する」というモチーフを、ここで投入してきたことには体中が震えました。

 沖田艦長の「重力アンカー解除!総員、衝撃に備えよ!」という叫びはもちろんですが、それに加えて、ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンバァン!という、実際に重力アンカーが外れるとこの描写がもー壮絶にカッコ良くて!

 劇場では二回連続で見たんですけど、二回とももう涙吹きまくってましたよ!

 ごふわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!

 てなもんでした。


 そしてその後の、ラストシーン。


 真っ暗なヤマト船内に、次第に明かりが灯っていって…シャッターが上がったその先には、まばゆいばかりの大マゼランが…。


 涙が乾く間もなく、もうただただ溜息でしたね…。何と美しい…。「昏き光を越えて」というサブタイトルが、今一度こうして、暗闇の中から光の中へと現れていく情景を以て、リフレインされているわけです。


 大マゼランに到達できたヤマト。


 その万感の思いを胸に、第十八話は幕を閉じます。まだヤマトの行く手は決して短くありませんが、多くのものを越えて、彼らはここまで来たのです。

 続く第十九話、「彼らは来た」のサブタイトルを前借りするような心地を持ちつつ、今回のレビューはこんなところで。次は…いつ書こうかしら?(汗)
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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テーマ:宇宙戦艦ヤマト2199 - ジャンル:アニメ・コミック

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