映司…力が欲しいなら…こんな程度で暴走してんな!
……このバカが!
ふんぬぐおわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
ああ!ああああ!!この、アンクの口から幾度となく繰り返されてきた「バカ」という言葉一つで、涙する日がこようとは!!
だって!だってさ!ここで言われてるこの「バカ」ってさ、もう、愛のいっぱい詰まった「バカ」じゃん!罵倒する言葉ではない、親愛の情を込めて言われる「しょうがないヤツだな、お前は」って意味合いの「バカ」じゃん!「愛あるバカ」じゃん!
いやぁ、もう、アバンからお腹いっぱいって感じですよねぇ。いや、決してBL的な視点じゃなくて、さ。いつだって誰だって、「微妙なバランスの上での不安定な関係」かと思われていたものが、「真なる関係への気付き」へ至る過程は、そりゃもう極上のドラマなわけですよ!!
何がありがとうだ!
ああ…渡すんじゃなかった!
…こんなヤツに…こんな…
自分の手で倒すって、一度は決心したはずだったのに、ついさっき言われた「ありがとう」の一言がフラッシュバックしてしまって、攻撃を当てることができなくて。その後も何かに悪態をつき続けながら、でもその「何か」が一体何なのか、アンクはもう自分ではわかんなくなってるんですよね。「こんなヤツ」=映司に対してイラだっているのか、いやでもその「こんな」ってのは一体「どんな」なんだと。答え、出せないでいるよね、このシーンのアンクは。しかも、そこにかぶってくる映像が、映司とのこれまでの日々で、彼の記憶に強く残る言葉の数々なんですよ。キタよね、この「日々」=「ヒビ」が。前回のレビューの最後で予想していた、ダブルミーニングだろうと思っていたもんが、アバンの初っぱなから炸裂ですもん、そりゃあコブシにぎるよ、眉寄せて打ち震えるよ!アンクの回想する「赤い日々」は、生きていないはずの、メダルの固まりのはずの彼の心を、激しく揺さぶるわけですよ!お前の欲しかったもの、全てを賭けても守るべきものは、この日々だったんじゃないのかって。
その後の、倒れてる映司を横目に見ながらの、アンクと真木との会話のシーンもたまんないですよね。「アンクくん。やはり彼は消してしまいましょう。」とかいう言葉を聞きながら、画面は目まぐるしく切り替わるわけですよ。真木とアンクに、アンクと映司に、また真木とアンクに、そしてまたアンクと映司に…。
もうこれは、アンクの心の揺れ、そのものですよね。グリードサイドでの、満たされぬ欲望のままに行く道と、映司サイドでの、人間の日々と思いに生きる道と。その間で揺れる、アンクの心。
さあ?オレも何のつもりなんだか…
映司に向けられた真木の攻撃の手をとっさに止めて、それでもまだよくわからないという素振りのアンクですが…真木から手を離すように言われても「そのつもりはない!」と力強く言い放てる程度には、もう自分の気持ちは定まっているんですよね。
アンクには、映司は倒せなかった。
そしてアンクには、映司が殺されるのを見過ごすこともできなかった。
もう十分じゃないか、アンク。お前は、映司たちの側で「生きる」ことを選んだんだよ。
命を手に入れるために、映司を倒すとか、そんなことも言っていたけど、そうじゃなかったんだ。大事なものを見つけて。自分の欲望よりも、ずっと大事なものを見つけて。その大事なものを見つけることで、アンク、お前は「生きることの意味」を見つけたんだ。それが、結果的に、求めていた「命」を手に入れることになったんだ。
だから、体は「相変わらず、メダルの固まり」であっても、心は「満足してる」んだよ。
しかもバカバカしいのは…さっきからずっと…満足してるってことだ。
……い~い、顔だよなぁ?すんげぇ、い~い顔してるよ、アンク…。決して満足できないはずのグリードが、手に入れることのできた満足の重みが、ずっしりと伝わってきますよ。
~~~
「生きる」ということの、意味。
欲望は、生きることの原動力。それは、確かに、そうなんです。
だけど、欲望が即、生きることの意味になるのでしょうか?そうではないんだよと、このシリーズは告げている気がします。
前回までの3回で、満たされることなく求め続けながら倒れていった、3体のグリード。彼らは「死んだ」のではなく、ただ「消えた」のだと、繰り返しそう言われていました。一方、今回満足したアンクは、比奈の口から「死んじゃうってこと?」と尋ねられています。生きてないことと、生きていること。その差が、この辺で暗に言われていると思うんですよね。単にメダルの固まりだから生きてない、ってことじゃないんですよ。生きるってことの意味をちゃんと見いだせたアンクだから、グリードなのに満足して、生きているものと同等の存在になってるんです。
比奈についてのクスクシエでのやり取りも。
もっと欲張っていいじゃない。
ちゃあんと欲張れるのは、比奈ちゃんだけよ?
ちゃんと、欲張る。いいねぇ、この言葉。前に進もう、生きていこうという人にとって、何よりの励ましなんじゃないでしょうか。ちゃんと欲張ることにした比奈が、今を生きていることの満足を感じているアンクの元へ走る。いいですよね、実にいい。
この体は何ともないから、安心しろ。
この辺の会話とかも、もう極上過ぎて、何が何やらわかんなくなるレベルですよ…あのアンクが、比奈の気持ちを気遣ってるんですから。一方の比奈は比奈で、アンクの体を心配して。
ただのメダルの固まりが…死…か…。
ここでようやく、アンクは実感できたんじゃないでしょうかね。今の自分が、生きているものとして扱われているってことに。「ただのメダルの固まり」って言ってる辺りが自嘲的に響いてはいますが、でも満足そうなんだよなぁ、この顔も。
~~~
映司の現状が、アンクとは対照的に、「欲望だけが先走って、生きることの意味を見失っている」ように描かれているのがまたアツいです。
何がアツいって?
そりゃあーた、その「命と正反対」の方向に暴走しかけている映司を、もうすぐ自分が「死んじゃう」だろうと自覚しているアンクが助けにいこうとしているとこですよ!
戻る。オレがついてないと相当やばいだろう。あの使えるバカは。
もう、迷いも、戸惑いもなく。自分が今、こうして満足しながら「生きて」いることを噛みしめ。その意味を全うするために、彼は生きることの意味を見失いかけている盟友・映司の元へ行くのですよ。これをアツいと言わずして何と言う!
でも、できれば!できれば死ぬな、アンク!…アンクだけでなく、比奈が「ちゃんと欲張」った通りに、アンクも映司も信吾も、皆がハッピーで終わる展開を望みたいところですが…。第一話のサブタイトルと強い結びつきを仕込まれた最終話のサブタイトルが、「明日を掴む」エンドであることを匂わせていることに一縷の望みを託しつつ、終局の展開を座して待ちたいと思います。
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