いやぁ、今回は悩みました。身内に突然の不幸があってレビューの間が空いちゃったということとは別に、見た直後から「さぁて、どうしたらいいのよ、これ」って悩みまくってたんです。こんなとこで悩むヤツはあんましおらんだろうとは思いますが、でもやっぱしあたしゃ気になるんですよ。
その悩みとは。
何だって今回、OP前のアバンがアレで、ED後のアフターがコレなんだろうっていうことなんです。
…え?別におかしいところはない?ちょっと無軌道に過ぎるかも知れんけど、そりゃいつものことだろうって?元々そういう番組だろうって?
いやぁ、まぁ、そうかも知れないですが…だけど、アタシ的には、とっても気になる要因がありまして。それはですね、OP後、Aパート冒頭のネタと、ED前、Bパート最後のネタなんです。両方、ゆっこのテストネタですよね。この一連のネタ、Aパートの前半とBパートの後半に集中して配置されていまして、つまり、第11話その他のネタを挟み込む形で、前後に配置されているんです。
これ、第11話の大枠を形作っているんですよね。ゆっこのテストネタで始まり、他の小ネタをいくつか消化した後、ゆっこのネタに戻って終わる、シンメトリカルな構造が設定されているように思えるんです。
ところが、ですよ。
その悩みとは。
何だって今回、OP前のアバンがアレで、ED後のアフターがコレなんだろうっていうことなんです。
…え?別におかしいところはない?ちょっと無軌道に過ぎるかも知れんけど、そりゃいつものことだろうって?元々そういう番組だろうって?
いやぁ、まぁ、そうかも知れないですが…だけど、アタシ的には、とっても気になる要因がありまして。それはですね、OP後、Aパート冒頭のネタと、ED前、Bパート最後のネタなんです。両方、ゆっこのテストネタですよね。この一連のネタ、Aパートの前半とBパートの後半に集中して配置されていまして、つまり、第11話その他のネタを挟み込む形で、前後に配置されているんです。
これ、第11話の大枠を形作っているんですよね。ゆっこのテストネタで始まり、他の小ネタをいくつか消化した後、ゆっこのネタに戻って終わる、シンメトリカルな構造が設定されているように思えるんです。
ところが、ですよ。
そこに猛然と異を唱えてくるのが、アバンでありアフターなんです。一見、今回のアバンとアフターって、互いに何の関係もないじゃないですか。シンメトリカルでも何でもない、全く無関係なものがそこに置かれてるんですな。あれっ、と。OPとEDの内側はこんなにも美しいのに、その外側は随分かぶいてやがるぞと。何か見落とししてるんじゃないのか、それとも「シンメトリカルな構造だ」って思ったところがそもそも考えすぎであって、何の大枠もない無軌道なエピソード群に過ぎないのでは…いやいやいやいや、そんなはずは!!
…困り果てました。もう、レビュー諦めてもいいんじゃね?とも思いました。もうゴールしてもいいよね?とかも考えました。考えましたとも。でも、そう言って投げ出すには、京アニ作品には多くのものをもらい過ぎてるんですよね、私。これまでのアレやコレやを踏まえれば、そんな簡単に放り出せるはずが…はずが……。
あ。
これまでを、踏まえる?
~~~
アバンの位置に挿入された、まさかの「ヘルベチカ・スタンダード」。何事かと思いましたね。一発目からサブコンテンツに振るとか、リベラルにも程があるだろうと。やんちゃなネタ振りは他作品でもちょくちょく入れてきた京アニですから、まーこんなことは今までにも経験しているわけですが、やってくれるじゃないかと。そう思いながら見ていたわけです。
ところが、二度目くらいの視聴時に、何か違和感を感じたんですよね。これ、誰でも自分みたいに笑えるんだろうかと。よく訓練された京アニ信者以外が…いや、違うな。この日常という作品を、このアニメ版第11話で初めて見た人って、どう感じるんでしょうか?あとでタヌキと判明するトローンとしてボーンとした生き物に、そう言われればそう見えないこともないような、スズメだという鳥が、家賃が払えなくて人間の大家さんから怒られているの図、でえすよ。いや、まあ、どことなくシュールだわ、ねぇ。ありがちなオチにも、タメが効いててクスッと笑えるわよ、ねぇ。でも、さ。…オレが初っぱなからフいた、「いきなしのヘルベチカかよ!」という部分には、何にも感じることができないんじゃないの?ですよね?あの部分は、これまでの展開と言いますか、「日常という作品の大枠」がわかってないと、コないんですよ。時定高校のゆっこたちを第一軸に、東雲研究所のなのたちを第二軸に据えて、そことつかず離れずの微妙な距離感を保った人々も含めたこの町のアレコレを個々のネタで展開し、広がりとともにぼんやりと日常を描き出す…それがこの作品じゃない?
その中でヘルベチカは、言わば「お口直し」なんですよね。アイスクリームについているウエハースみたいなもので、口の中が冷えすぎてアイスの甘さがわからなくなった時にちょっとかじる。すると、口の中の温度がちょっと上がって、またアイスが甘く美味しく食べられるようになる、と。ヘルベチカも、日常の通常展開が続いて、慣れが来てしまった時の、感覚をリセットしてくれるための特効薬です。「非日常の中に潜む日常」「非日常の連続からも香る上位の日常」とはちょっと異なった、「モロ非日常世界の日々」やら「日常然とした日常」やらが描かれ、閑話休題、という感じで我々はまた本編に、新鮮な気持ちで戻れるわけです。
それが。いきなりウエハースから無理矢理食わしてきたわけですよ、第11話は。まあ、びっくりしますわ、これから毎週の恒例通りアイスを食うんだと思ってたお客は。だけど、前知識なしで今回初めて来たお客は、いきなしウエハースを食わされても、「ああ、ここの出すものはウエハースなのね」と思ってそれきりかもしれません。アイスが出るんだってわかってないと「いきなりウエハース」は効きませんし、ゆっこやなののネタがメインなんだって知らないと「いきなりヘルベチカ」は効かないんです。
これまでを踏まえてないと、アバンの「いきなりヘルベチカ」は…。
~~~
最近は、ED後にも一発のネタが入ることが増えましたよね。映画でも、クレジットロールの後にお楽しみが入っていることが時折あって、私のように「楽しんだ映画はクレジットロールまで全部味わいきるまで席を立たない」ような者には、この手のオマケはとっても徳をした気分にさせてくれてありがたいです。今回のも笑いましたなー、げた箱のラブレターに狂喜乱舞する女学生を微笑ましく見ていた校長が、自分のげた箱にまさかのバターロールを見つけて、悶絶ですよ。チョーさんの演技がナイスなあの「はー、はー、はー、」がまた見られて実に嬉しいです。次の機会には是非納豆を見つけたときの「ぃひええええええええ、ぃひえええええええ」もやっていただきたいと…。
…あれ?
オレ、このアフター部分は、「前にも見たネタ」ってところを足がかり・拠り所にして、笑ってんじゃないか?
そうなんですよ。仮に、全く日常のアニメを知らない人に、このアフター部分だけを見せたとして、彼は悶絶せんばかりに笑ってくれるでしょうか?全くいないとは言い切れませんが…多くの場合は無理なんじゃないですかね?げた箱に投入されたバターロール。十分にシュールな構図です。しかし、それを見て校長が何故はーはーしているのか、そもそもこれは嫌がらせとして成立するのか、その辺の疑問を抱かずに全てを理解して爆笑に至るのは、ちょっと無理です。今回教頭の家のシーンで語られた「誕生日プレゼントのバターロール」というネガティブ要素やら、教頭が以前から校長に対して微妙な嫌がらせをかましている経緯やら、校長がそれに対して示すあの「はー、はー、」の動揺っぷりとか、そういったものが一瞬で脳裏に短絡してこそ、このアフターは爆笑を誘発すると思うんです。
これまでを踏まえてないと、アフターの「バターロールに『はーはー』する校長」は…。
~~~
いずれも、「これまでを踏まえていてこそ」というネタなんですよね。第11話の、アバンと、アフターは。
つまり。「ゆっこの試験ネタ」で前後がくくられる、シンメトリカルな構造を持つ第11話本編は、その外側にOPとEDを置いて、更にその外側を「これまでを踏まえてこそ」というネタで更に挟む、大構造を持っていることになります。全体が、更に大きくシンメトリーを保っているわけですね。
何故そういう構造にしてあるのでしょうか。
それが美しいから、かも知れません。また、この第11話で強調したい部分をその構造に盛り込んだのかも知れません。知れませんが…決定的に「こうだ!」と断言できる何かは、ちょっと見つけるのが難しそうですね。
ただ…私が思うに、この「これまでを踏まえると何かが見える」というのは、私たちが普段「日常性」というものを斟酌する際に、重要な判断基準になるものだと思うわけですよ。
昨日と同じ、いつもと同じ。そこに、我々は「日常的なもの」を感じます。
昨日と違う、いつもと違う。そこに、我々は「非日常の香り」を嗅ぎ取ります。
いずれも、前もって踏まえておくべき「これまで」の体験がないと、それは拠り所を失うんですよね。例えば、今回の定点カメラシーンなんかも、その辺に繋がっています。赤明滅や黄明滅を繰り返していた深夜モードの信号機が、いったん交差点の双方で赤全灯になり、然る後に通常モード~一方は赤、他方は青~へと移行する…これが「見れてラッキー」な感じがするのは、そうでない普段の信号機~通常モードか深夜モード~を知っているからなんですよね。あ、いつもと違う、という感覚の裏には、我々が「日常」と意識しているものとの差異が根付いているわけです。
まあまあの奇跡というヤツも、普段はなかなか起こり得ないコンボだからこそ、まあまあの奇跡として認知されます。雨上がりに、虹の七色の装いをした人たちが偶然一列に並んで、その真上にまさに虹がかかる。それは、偶然であり、まあまあの奇跡でもあり、でも日常の中でふっと起こって流れていく「なんでもない時間の一部」です。
アンタ赤点取ったら殺すわよ。うん、「あの」母親ならやりかねん。そう思うのも、これまでにゆっこの母親の殺人アーツを見ていればこそ。
やたらネガティブな教頭の頭の中。まあ、気の毒な気もするが、何となく因果応報じゃねーの。そう感じるのも、校長に対する微妙に笑っちゃうアレな嫌がらせの経緯を覚えていればこそ。
普段というものを認知して、或いは以前の経験を踏まえて、それで僕らの日常は今日も明日も連綿と続いていきます。同じように、或いはちょっと異なる部分を見せ、その全てを大きな日常として括りながら…。
この度は、とうとう周回遅れをやらかしてしまい、楽しみにされていた方(いらっしゃれば、ですが…)には大変申し訳ありませんでした。何分、管理人の「やむなき事情」というものですので、ご容赦いただければありがたいです。
この今回の「やむなき事情」というもの自体が、ミクロ視点では毎日やってくるものではないのだけれど、マクロ的には日々どこでも起きている、そういう意味では何ら特別じゃないことなんだよなぁ、なんて、ぼんやり考えてみたりもしています。人が生まれ、人が死ぬ。そのこと自体が、実は大きな「日常」というものに含まれるものなんですよね。
ならば、そこで悲しみのあまりに歩みを止めることは出来ません。私自身、今もマクロ的な日常の渦中にいるわけで、ならばミクロ的な意味での日常への復帰も、別に難しいことではないでしょう。ゆるゆると私も、戻っていこうと思います。また、お会いしましょう。次のレビューで。
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