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Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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私が職場にOffice互換系スイートを入れさせない理由
 もう間もなくで丸5年になりますが、今の私は職場のIT関係を統括する部署に所属しています。そこで、割と頻繁に繰り返し出てくる話題が、コストの高いMicrosoft Officeを、フリーや安価な別のものに入れ替えてはどうか、というお話。

 分かりやすいというか、世間的にもよく目にする辺りでは、Open Officeがネタとして挙がりますね。何せ、導入にあたってライセンス料が一切かからない、というのは、コストに苦しむ法人にとっては垂涎のネタでしょう。Accessを含まないStandard Editionでさえ4万円強もかかることを考えると、これがゼロになる、というのは確かに魅力的に映ると思います。Officeのサポート期間は発売からほぼ10年くらいですから、均せば年間4千円/台くらいのコストを払い続けることになりますからね。かけることの、PC台数。ウチだとイントラネット上にいるのが大体500台くらい。年あたり2百万円ですものね、そりゃあ小さくないわ。

 でも、そのように踏み切れない理由があるから、やらないでいるわけですよ。他の企業もそうなんだろうと思います。思いますが…こんな記事を見ちゃうと、おいおい世の中のIT関連部署は本当に大丈夫なのかと、すんごく心配になります。いや、確かにそれらも乗り換えの際にクリアすべき課題だけどさ、一番肝心なものが抜けてね?

 OpenOffice.orgへの移行における障壁
 
 ここで挙げられている理由は、大きく3つです。曰く、

●操作性への慣れ(教育)

●体裁の修正

●マクロの取り扱い

 一番上のは、末端ユーザーが今までと違うインターフェースに慣れる必要がある、という話。残りの二つは、ざっくりと括ればMicrosoft Officeとの互換性の問題ですね。既存のMicrosoft Officeで保存していた文書も、開けるには開けるけど、文書の体裁が崩れてしまって使い物にならなかったり。マクロ=VBA(Visual Basic for Applications)を使って自動化していた処理が、一切動かなくなったり。確かに、これらはやっかいな問題には違いないし、クリアするためには一工夫も二工夫も要る案件だと思います。軽視はできないわね、うん。

 だけどさ。

 違和感を感じません?オレぁ感じますよ、バリバリに。だって、上記の3点は全て、「IT関連部署としては変えたいけど、実際には変えられない理由」です。IT関連部署としては、どうあっても変えたい、でも、末端で生じるこれらの問題があるから、変えるに変えられない。そういうことですよね。

 違うんだよ…。

 「本当に変えられない理由」はね、末端ユーザー側じゃなくて、IT部署の方に生じる問題として存在するんだよ…。

 脆弱性対応。どうすんのさ、一体。

 Microsoft Officeは、さすがに普及しているだけあり、脆弱性の問題はもう10数年にわたって彼らを脅かし続けていますから、そちらの対応も割としっかりしています。パッチの定期提供の体制は、1999年発売のOffice 2000ぐらいから本格的に取り組みがなされるようになり、2001年発売のOffice XPで、更新の仕組み自体は既に完成してるんですね。OSの対応が主体だったWindows Updateと、Office専用だったOffice Updateが統合され、Microsoft Updateになった時点で、ユーザーが特別な手間暇をかけなくても重要な更新が自動で配布できる、そういうスキームは整っているわけです。また、2002年から提供が始まったSUSは、企業の内部ネットワークに更新用サーバを置くことで、各企業のポリシーに応じて社内PCの更新を管理する仕組みを提供してくれました。これも、2005年に提供されたWSUS2.0をもって多くの欠点が解消され、一応の完成を見たのではないかと私は思っています。

 私はおよそ500台のPCの脆弱性対応をほとんど一人で管理していますが、パッチが上手く当たらない等の理由で個別に手作業の手間がかかるのは、月に数台というレベルですね。それ以外は、サーバ側でパッチの適用開始を設定すれば、各PCが起動中にバックグラウンドでそれぞれ適用が行われる、そういう体制が整っているわけです。だから枕を高くして寝られるのよ。

 一方の、Open Officeはどうか。パッチの提供自体、聞いたことがないんですよ。ええ、まさかそんな、と思います?でも、無いんだよなぁ。バージョンアップは何度も行われていますが、全部「フルパッケージ」での提供なんだよね。つまり、発見された脆弱性に対応した新バージョンを使うためには、その都度、フルパッケージを上書きインストールせなならんわけです。インストールて、おま、全部手作業でか?!

 その辺、一体どうなってるのか、あまり表に出てくる情報はないんですが…とりあえず一個だけ、そこに関わる記事を見つけました。昨年の4月のものですから、割と最近の状況が反映されていると思うのですよね。文章がまるで「英語圏の人が書いた論文を逐語訳」したかのような読みにくさなのですが、でも書かれていることは割と真面目です。

 OpenOffice.org日本語版のセキュリティ対策の不十分な状況と参加の呼びかけ

 この記事の筆者は、むしろOpen Officeの普及を推進したい側の立場のようなんですが、「こんな状況では到底推進などできん!現在の弱体なセキュリティ対策を強化するために、是非手を貸してください!」という趣旨でこの記事を書いているんですね。そういう危機感が、実際にプロジェクトに参加しているこの筆者にはある、ということです。

 こういう人が現場を憂いて呼びかけをしている辺り、Open Office陣営だってまだまだ捨て鉢になるような状況ではないと思います。これらの動きを活性化させていけば、将来的にセキュリティ面もしっかり配慮されたものが出来てくる可能性は、十分にあるはず。だけど、こんな警鐘が鳴らされる程度には、やっぱりOpen Officeを取り巻く今のセキュリティ環境は、全然未成熟なままってことなんですよね。

 つまりは、企業として導入を検討するテーブルに、Open Officeはまだ付くことが出来ない、ってことなんですよ。

 私が怖いのは、そういう状況にもかかわらず、各法人のITを統括する部署の意識が、最初に挙げたリンクのような「末端ユーザーが嫌がるから出来ない」というレベルに留まっているように見えることなんですよね。むしろ逆で、仮に経営者からも末端ユーザーからも強い導入の希望が上がったとしても、ITサイドは必死で止めるべきなのが現状だと思うのよ。あんだけ情報漏洩だの何だのと危機感が高まっているように見えても、肝心なところがまだズッポズポ抜けているとしか思えません。いいのかよ、脆弱性放置しっ放しで。そっちに目を向けずに「高いMicrosoft製品をやめてフリーのOpen Officeに」という話題が出ること自体、無責任極まりないと思うのですが、どうですかね。いやいや、そもそもウチの社内はセキュリティパッチとか一切当てる運用になってないから同じなんだよって、か?それ自体が怖いわ!!

 意識の高いところは、Open Officeへの乗り換えの際に、自前でパッチ当ての仕組みを開発したりもしています。これには当然、開発コストだけでなく、運用のコストもバッチリかかるのね。そこまでする覚悟があって、なおそれでもOpen Officeに乗り換えるだけのメリットがある、と思えるなら、導入を検討できるでしょう。先の記事に挙がってた会津若松市役所などは、そういうコストを払って乗り換えた例なんでしょうね。そのキーパーソンらしき「目黒さん」というご担当が異動になっても大丈夫な体制なのかは、外からはちょっとわからないですが。

 ウチは、現状では乗り換える気はないです。そこまでの覚悟もないし、乗り換えに伴うコストを払うこともできませんもん(ウチの場合は主に人的コスト負担が負えないのよね)。これがKing Officeなどの、フリーではないけど安価な互換ソフトであっても、セキュリティに関する状況はほとんど変わらないですから、検討自体があり得ません。せっかく私がこの5年間積み上げてきたものを無に帰すような決断、私の目が黒いうちは絶対にさせませんとも。確かにMicrosoft Officeのライセンス料は高いんだけどさ、「安かろう悪かろう」じゃ困るんだわさ。特に、例え末端ユーザーを泣かすつもりで機能面の不備には目をつぶっても、情報の安全を脅かす危険には、目をつぶるわけには行かないんだな。

 別に、Microsoft信者ってことではないですよ、私。あのインターフェースや機能が最高!って感覚は全くないし。大体、末端ユーザーがあの高機能の何分の一を使ってるのかとか考えたら、ライセンス料が勿体無くて涙が出てきます。極端な話、セキュリティ面が完備されてる安価な互換オフィスが出たら、それこそ末端ユーザーを泣かしてでも入れ替える決断をしますよ(笑)。そういう検討が可能になるよう、セキュリティ面を各互換オフィスが強化していく流れになればいいなと、すごく思ってるんです。でも、一向にそういうハナシは聞かないのよね。いつまでもいつまでも、肝心なところに目を向けないままでの、「タダ」「安い」という話ばかり。いい加減にして欲しいですよ、全く。そんなもんであの堅牢なMicrosoft陣営が崩れると思ったら大きな間違いなんだわさ。相手は巨人なんだから、本気で行ってくれよ、頼むから。
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