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Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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久しぶりに、名雪さんのハナシ。
 今さら一体何をやらかすんだと思ったそこのアナタ。わかっちゃいねぇ。わかっちゃいねぇよ。齢いくつになろうと放映から何年年月を重ねようと、オレは永遠のナユキストだ、よく覚えとけ!!

 彼女もフィクション上の架空のキャラクター相応に、理想化されたり端折られたりしている部分は相応にあるわけなのですが、そういう部分はごっそりさっぱりと割愛して。Kanonにおける水瀬名雪なるキャラクターに課されている要素は、「今も残る辛い過去の記憶」「それと向き合い続けることの辛さ」「それを乗り越えて明日へ向かう強さ」って辺りだと思うのですな。それが、自分がナユキストになった理由であり、今もまだそう在り続けようと思う理由なのですが。

 そうやって書き下すと、何かありきたりで陳腐なものにしか見えないんですが、Kanonの主要キャラクターを一人ひとり検分していくと、それが如何に特殊な状況かが見えてきます。およそKanonのキャラクターにおいて、まずは「今も残る辛い過去の記憶」なんてものを抱えてる人物自体が稀有な存在なのですから。
 
 まず主人公たる祐一。以前にこの街であったことはほぼすっぱりと忘れさっています。

 次に、メインのヒロインと言って差し支えない月宮あゆ。彼女もまた、7年前に我が身に起きたことを忘れた状態でシナリオがスタートします。

 美坂栞は向き合うべき辛い過去自体が存在せず(彼女が向き合うべきは辛い現在なので)、沢渡真琴も力の発動と引換えに記憶をなくしています。川澄舞は微妙なところですが、私の解釈上では「祐一が戻ってきてくれないという事実からの逃避があの状況を生んだ」と思っていますので、彼女もまた辛い過去と真正面から向きあってはいないのだ、と私は思っています。

 唯一、サブキャラクターである倉田佐祐理だけは辛い過去を抱えたまま、それを乗り越えようとしている風に見えなくもないのですが…残念ながらその「辛い過去」は、事実上もう乗り越えることが不可能な代物です。死者ってのは、もうどうにもこうにも動かしようがないんだよね。そいつだけは、違った形で昇華していくことしかできません。有り体に言えば、「その辛い過去を忘れることでしか解決できない」という側面を持つものだと思うんですね。佐祐理さんが本当の意味で笑う時、男性に対して敬語を使わずに話せるようになる時、それが彼女の救われた瞬間であり、同時に「辛い過去から良い意味で解き放たれる時」になるんだろうなと。そう考えると、冒頭に述べたような要素とは若干異なるなと思うわけですよ。


 しかし。


 水瀬名雪は違います。


 辛い過去。祐一から拒絶を受けたことの癒えない傷。忘れかけていたそれは、祐一の帰還とともに彼女の「今」へと蘇りました。「昔のことだよ…」と彼女は言うけれど、その言動のあちこちには今もまだ祐一への好意が香っていて、しかもあの辛い出来事の記憶が消えていないことを一々示唆してくるのですよ。それは、現実に目の前にいる人への好意であり、他ならぬその人から拒絶を受けた事実であり、決して忘れられない「愛する存在の去就の記憶」なのです。あの印象的なオープニングからそれは始まっており、どの瞬間にも常に彼女から離れることなく、ぴったりと寄り添い続けているのです。

 考えて見れば、名雪の母親・水瀬秋子が生死をさまよい、そこで逡巡する名雪が描かれているのは、あの日の祐一が彼女を去ろうとしていたのと同様に、今もまた大切な存在である母が我が身を去ろうとしている、そういう繰り返し構造になっていたのかも知れません。

 原作における水瀬名雪のシナリオでは、名雪は祐一の愛を受けて救われるんですよね。秋子はこのまま彼女を去るかも知れないけれど、祐一は今度は彼女のそばに居続けると約束してくれる。ならば、もう一度強く立ち上がろう。そういう過程として、水瀬名雪の復活のシナリオは紡がれています。

 ところが。京アニ版はこれをがっつりとひっくり返して見せました。祐一は、名雪のそばには居続けません。秋子も、戻ってくるのやらどうやらあの時点ではわかりません。それでも、いいと。秋子がいなくても祐一がいなくても、彼女は立ち上がるんです。あまつさえ、辛さのあまりに折れそうになっている祐一を支えるべく、「私、強くなるよ」と。



 ……ありえんだろう…。



 ありえねーよ!ありえねーんだ、そんなことは!人間て弱いもんだろう、ついついくじけちゃうもんだろう!折れそうになって沈んで落ち込んで、そんな状況で誰の助けもなくて「強くなるよ」なんて、そんな言葉が一体どこから出てくるんだよ!



 人間は、辛いことを忘れるから生きて行けるんです。忘れても、いいんだ。それはそうだと、今でも思います。



 だけど、同時に、彼女のことも忘れずにいたいと思います。辛いことを忘れず、常に日常の片隅に置き続けて。更に辛いことが我が身を襲って、どうにもならない闇に沈みそうになって…。それでも、ほんの少しの言葉と思い返しだけで、途方も無い強さを発揮してみせた、水瀬名雪という少女のことを。非実在?フィクション?うっさいわ!架空の存在が人間を勇気づけちゃいけない理由が、一体どこにあるってんだよ!



 過去は過去。動かせない事実もあれば、どうにもならない現実もあります。でも、それでも人は、立ち上がることが出来るんだ。そういう意味では、「真に明けない夜」なんてものはないのでしょう。今一度、そのことを噛みしめつつ…私も私なりの「明日」へと向かおうと思います。それでも挫けそうになったら…年甲斐もなく、あの呪文をつぶやいてみますかね。「ふぁいとっ、だよ?」と。
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コメント
この記事へのコメント
北川問題の関係でDVDは全巻持っていないのです
先日までAT-Xで京アニKanonの再放送やってましたね。見てたけど、ながら見だったからその辺のことあんま覚えてないです…。冬休みでも使ってもう一回見ましょうかね
2010/12/18(土) 15:50:21 | URL | 荒野草途伸 #-[ 編集]
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