ははは、なるほど。あずにゃんはそういう立ち位置で、5人の関係はこういう方向性なのか…。
………で。
………どう書こう?
うん。正直に書きます。私にとっては、けいおん!の中で今回ほど、イラッとさせられた回は無かったような気がしますな。それが元々の狙いだったのなら、多分、十分すぎるほどに効果は上がっているかと。
………つーか。これは、あずにゃん、ホントに辞めてしまってもムリない流れだし、辞められても上級生4人は文句言えない仕方ない流れですねぇ。ええのかい、それで。
………で。
………どう書こう?
うん。正直に書きます。私にとっては、けいおん!の中で今回ほど、イラッとさせられた回は無かったような気がしますな。それが元々の狙いだったのなら、多分、十分すぎるほどに効果は上がっているかと。
………つーか。これは、あずにゃん、ホントに辞めてしまってもムリない流れだし、辞められても上級生4人は文句言えない仕方ない流れですねぇ。ええのかい、それで。
「フィクション」なので、「現実ではない」ので、そして「登場人物が体験する全ての時間を視聴者が共有できるわけではない」ので。ま、当たり前のことですが、僕らは「行間を読んだ」り、「想像で補った」り、「妄想で補完した」り、「ただただ萌えた」りと、視聴者に許されるありとあらゆる自由を最大限に活用して、彼女らの生きる世界というものを自分の中に構築します。
そうして組み上げた、自分の中の「疑似真実」が、目の前の「リアルな作品」との齟齬を生じる時。どうにもならないギャップを、僕らは感じるのでしょう。それまで、共有していたと思っていたものが決してそうではなかったことに気付くか、裏切られたという思いを抱いて不満にまみれるか。どちらにしても、あまり幸せな感じはしないもんですねぇ。今回の私に関して言えば、前者に留まっているところなんでしょうけど。
「どうにもならないギャップ」を感じているのは、今話の梓も同じ。ただ、上記と似ているようで微妙に事情は異なります。僕らが感じるギャップは、作品がフィクションであり部分描写である以上は必ずついて回る構造的な問題ゆえ。梓が感じるギャップは、一緒に過ごしてきた時間の長さや暮らしてきた環境の違いによる個々の問題。だと思うんだよなぁ。どう?
今回は、「私が感じたギャップの正体」と、「梓が感じているギャップの中身」について、切り分けて書いていきますか…。
~~~
私が感じたギャップについては、2回くらい見た時点で、ある程度正体はわかりました。一言で言うと、
「ホントに、ロクな練習してないんだ?!」
って辺りかな。いや、さすがに、ある程度はやってたんだろう、という補完を自分なりに行っていたもので。
全部で1クール。
7話までで一年間。
そういう枠組みだから、練習している時間の描写などは、当然最低限に留められますよね。リアルの練習時間というのは案外(というか当然)地味なものですから、そこに延々と時間を割くよりも、登場人物の心境のこもごもやイベント的な部分にスポットを集中して描いてきたのは正しいと思うんです。そうでないと、エンターテイメント作品としては失敗でしょうから。
だから。平たく言えば、「私が見ていないところ」「私には見る機会がないところ」で、彼女らは相応に長いリアルの練習時間を過ごしているに違いない、と。そう思ってたんですよね。だからこそ、普通ではちょっと考えにくいくらいの進歩が時折見られたりするのだろう、と。
それが、今回の描写を見る限り、梓が来てからしばらくの間、彼女らは本当にロクな練習をしていません。下手すると、本当にお茶しかしていない。それを確定してしまうのが、Bパートの前半で梓が言う、このセリフ。
練習もしてないのに疲れました。
梓を含めた全メンバーの表情を映さないこのシーンは、意図通りなのか計算外なのかわかりませんが…すんごく不穏に見えるんですよ。つーか、仮にそういうカットでなかったとしても、普通に衝撃でした、このセリフは。ええ?!ホントに一切練習してないの?!って。少なくとも、この日は練習してない。直後に見える5人の立ち姿では、弦楽器の3人が自分の楽器を肩に下げてるんですが…学校に持ってきたのが、完全にムダになってるわけですよね?そりゃあさすがにダメすぎる。つーか、「上手くなる道理がない」。音楽なめんな!とか怒る人が出ても仕方ないんじゃないかしら。
まあ、「この日はホントに一切練習してない」だけで、その他の日にはちょこっとはやったかも知れないんですけどね。その後の行楽シーンで、「澪先輩はあんなに上手いのに云々」と梓に言わせている辺り、少なくとも梓が澪の実力を認めるくらいの時間は過ごしているでしょうし。だけど、その他の部分はほぼ全て、「ロクな練習してない」ってところに収束するような、そういう描写に徹しています。例えば、梓が唯の実力についてなかなか正確なところをわかってなかったり、梓の演奏について上級生の4人がBパート中間に入っても「やっぱり上手いな」って感想を漏らす程度=まだあまり彼女の演奏を聴いてないって程度だったり。制服が夏服に変わる間、作品世界では何日経った?その間に部活は何回あった?その中で、何回練習、いや、何回楽器を持った?
そりゃあさすがにダメすぎる。
つーか、「上手くなる道理がない」。
音楽なめんな!
真面目すぎるのかなぁ、俺…フィクションに現実の感覚持ち込むのも無粋だとは思うし…でも、バンドじゃないにせよ合唱という世界でそれなりに長い時間を積んできた経験上、音楽を上に押し上げるための「最低ライン」の在処はわかってるんですよ。その最低ラインを、さすがに今回はあり得ないくらい割り込んでるとしか、自分には感じられませんでした。
ファンタジーな部分はあっても良い、と思います。「軽音て、軽い音楽のことだと思ってた」ような場違いな女の子が、始めて一年そこそこでもびっくりするようなギターを披露しちゃう、それ自体がイヤなわけではないんです。実際、音楽用語を知らなくてもいい演奏はできるものだし、あり得ないとまでは言い切れません。でも、そういうファンタジーがあっても良い、と思わせてくれるくらいの、フィクションならではの説得力は欲しい、かなぁ。それが、「この4人だからいい演奏になる」ってだけでは、私にはちょっと弱かった。無論、そういう「数直線上の巧拙レベルだけでは判断できない」ような要素は、実際に音楽について回るものですが…それ「だけ」ではああまで上手くはなれない、ってのも真なのよね。
「梓の感じたギャップ」というものを浮き彫りにする描写に徹したせいか、恐らく脚本の本来意図しないところで、私には今回の話は「これまでの脳内補完を無為にしてしまう展開」に見えちゃったのだと思います。素直に、ちょっと残念。
~~~
さて。
その「梓の感じたギャップ」ですが。
これぁもう、あるあるあるあるあr、ですわねぇ。空気、ってね、あるんだよね。カラー、と言ってもいいかな。真面目に練習をする雰囲気じゃない、っていうのはあくまでも表層部分であって、人と人との繋がりが生み出すフィールドの適否、感覚の違いこそが問題なのだと思います。
4人にとっての軽音楽部はああいうもので、それで全く自然な空間。違和感なく普通に過ごせる、居心地の良い場所。それを一年間積み上げてきたからこそ、今の彼女らがあるし、今の彼女らの演奏がある。
これまでは、そのことがメリットを生んできたんですけれど、あまりに強固すぎたために、今回はデメリットが出る形になってますね。上級生はその場の空気に対して、「空気を読む必要がない」ってくらい溶け込んでいますので、空気を読む仕事が全部梓の側に偏っているんですよね。元々澪以外は、空気を読んだりするタイプでないからなおさらです。さわちゃんも含めて、ってところがなかなかイタイですけどね(笑汗)。
あそこまでギャップが激しいと、実際に新入生はフェイドアウトします。これも、実体験として私も経てきたことだから、実感としてよくわかります。その場がどんなに素敵であろうとも、後から来た人が強くギャップを感じてしまうと、自然に離れていっちゃうんですよね。新入部員がそうならないように、ある程度空気を読んだりフォローするのは、上級生の仕事です。それでもダメだった、ということも多いですけれど。
梓がフェイドアウトせずに済んだのは…何らかの幸運に加えて、梓自身が本当に真面目に自分の問題に取り組んだから、なんでしょうね。真面目な部分があるからこそ、今の軽音楽部に疑問を感じたんでしょうけれど、真面目だからなおさら、他のバンドを見に行って感じた違和感も看過しなかった。いやぁ、いい子ですねぇ、あずにゃん。好きですよ、そういうの。
相互作用、とか。そんな感覚を、思い出します。
学校の部活って、たった3年間で、全部メンバーが強制的に入れ替わるんですよね。いや、今回のけいおん!のケースでは減る人間はいませんけれど、毎年ある程度の部員を抱えるような部活だと、一年ごとに必ず「いなくなるメンバー」が出ます。つまり、毎年、構成メンバーは変わる、ってことです。その場の空気と一緒に。
主力のメンバーは昨年からずっと一緒にやっている人たちなのに、空気は変わるんです。日常会話の楽しさが、楽しいのは楽しんだけれど、何かが違うように感じたり。何より驚くべきことに、出る音が違います。上手い先輩が抜けたからとか、そういうことだけではなくて…カラーが、音色が違うんですよ。昨年から同じく定番にしているレパートリーであっても、昨年と同じ音はもう出ない。面白いもんです。
一方で…それでも残るもの、共通する何か、みたいなものも感じることがあります。この作品では特に言及も描写もありませんが仮に言ってみるなら、ああ、やっぱし桜高軽音部だねぇ、とか思ってしまうようなもの。メンバーとか全然違うのに。音色とか空気とか結構違うのに。矛盾しているようだけど、でも「共通する空気」を感じることが、同時にあったりします。
相互作用、なんですよねぇ。これって。
昨年を知ってるメンバーが、昨年の空気を一部受け継いで。新しく入ったメンバーが、新しい空気を持ち込んで。そういう、違う空気を持つ二組の人々が、両方の持つものとはまた異なる、第三の空気を紡いで。それらが不可分に混じり合って、「どこかで今までとも繋がってる、今しか出せない音」に至ります。それって、とっても当たり前だけど、実はすごいことだと思うんですよね。集団としての歴史的な個性であると同時に、その集団の今現在の個性でもあって。
仕方がない、とは思っても、やはりフェイドアウトするのは勿体ない、と強く思います。相互作用する機会も持てずに終わってしまうなんて、勿体ない、と。人ごとであっても、だからフェイドアウトは悲しいものなんです。相互作用こそが、人と人との関係の根本だから。
梓は、相互作用を望んだんですよ。彼女らとの。
だから、居残った。散々迷って、一度は離別も真剣に考えたけど、それでもやはり居残ろうと。
やっぱ、お見合いなんですよね、新入生と上級生の関係って。前回も書いた通りに。「新入生にとってみれば、自分のこれからの新生活の、かなりの部分を託すような相手選びであり」「上級生にとってみれば、自分たちの活動の数分の一を担い、変え、未来に継いで行ってくれるような相手選びでもあり」「恋愛にも似た、子育てにも似た、そんな大きな出来事を、高校の三年間というすごく短い期間に、濃ゆ~く凝縮したもの」………ああ、やっぱもう一回経験してみたいもんですなぁ、高校生生活(爆)。
あんなにだらしない練習でも、何かの相互作用を望むことができた梓なのだから、これから何かを紡いでいけるのだと思います。それが見られることを楽しみに、残りも見ていきますね。てゆーか、もう後半戦なんだよなぁ…1クール作品て、ホント、早い…。
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OPに梓が追加されてる!
歌も参加してるようだがTVだけ?そのバージョンのがオリジナルサウンドトラックとかで収録されたりとかするのか...
2009/06/12(金) 20:26:10 | 蒼碧白闇
-――――-
_ ...:-...
2009/06/13(土) 18:45:43 | ルーツ オブ ザ まったり!
カワイイ後輩の「中野梓」が軽音部に入部しました、しかも梓はギター経験が小学4年生からあるサラブレッド少女だったから驚きです。
唯は...
2009/06/15(月) 09:00:46 | 萌えアニメで楽天生活