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Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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「橘の中の観鈴ちんなどいない!」
 えー。昨夜の記事に付けていただいたコメントをきっかけに、色々と調べてみると、そもそも「橘観鈴」という名前がありえないことをはじめとして、諸々のことがわかってきました。ここに訂正記事としてアップいたします。「AIR」の物語解釈とは若干離れる記事のうえ、法律用語などが多いため結構読みにくいですが、よろしければ参考としてご覧下さい。この考察をする機会を与えてくださった荒野草途伸さまほか、コメントを下さった皆さまに感謝。

 なお、てりぃは決して法律の専門家ではありません(つーか、そもそも理系でした)ので、引用や解釈に間違いが含まれる可能性はかなりあります。以下の記事はあくまで「読み物」として楽しんでいただくよう、よろしくお願いいたします。(^^) ツッコミ大歓迎。
【戸籍上の扱いについて】
 まず、非摘出子、すなわち婚外子は父母どちらの姓を名乗り、どちらの戸籍に入るのでしょうか。これは、前者は民法に、後者は戸籍法に定めがあります。
  • 民法第790条2項 嫡出でない子は、母の氏を称する。
  • 戸籍法第18条2項 前項の場合を除く外、父の氏を称する子は、父の戸籍に入り、母の氏を称する子は、母の戸籍に入る。
※下線はてりぃが付したもの。以下同様。

 観鈴ちんは「結婚もしてないふたりが、いろんないがみ合いの中で生んでしもた子」とされていますので、婚外子ということになります。したがって、母方の姓である「神尾」を名乗り、神尾家の戸籍に入る、ということになります。そもそも戸籍名が「橘観鈴」であるとした、直前の記事は全くの誤りであります。スイマセン…

 なお、神尾さんちの観鈴ちんが、橘さんちの観鈴ちんになる方法もなくはないのですが、それには家庭裁判所への「子の姓を変更してほしい」という審判申し立てが必須であり、そこで認められなければなりません。たとえ間違いなく自分の子供であっても、自分と違う姓の子供は自分の戸籍には入れられない、ということです。

【親権を持つ者について】
 では、「神尾」の戸籍に入っている以上、神尾一族である晴子さんの方に分があるのかというと、実は全然違うようです。現行法では、「戸籍」といわゆる「親権」とは、全くリンクしないものらしいのですね。これが昨夜の記事のもう一つの誤謬(ごびゅう)。「親権」の中身については後に述べることとして、誰が親権者であるかについて、関連のある民法の条文を以下に引用します。
  • 民法第818条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
  • 同条3項 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同してこれを行う。但し、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が、これを行う。
  • 民法第819条4項 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父がこれを行う。
 818条は、婚外子に対し当然に親権を持つのは母親のみと解されています(離婚の場合には別途定めがありますが、ここでは無関係なので割愛します)。父親も認知後には、819条4項のとおり、父母間の協議を経て親権者となることができますが、この場合も婚姻中の様に父母が共同で親権者となることはできず、どちらか一方のみを親権者とすることになっています。従って、あえて敬介に譲ったのでなければ、観鈴に対する親権はやはり母が持っていた、ということになります。

 観鈴の母の死後、誰がその役目を受け継ぐのかについては、やはり民法に定めがあります。
  • 民法第839条 未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
 母親のみが親権を持つ場合、その死後、誰かに自動的に親権が移ることはなく、遺言で「未成年後見人」を指定することになるのですね。「未成年後見人」は、「親権者」が不在の場合にこれに代わる役割を果たす者、という理解でよいと思います。

 晴子のセリフ~「法的には、うちにはどうしようもあらへん」~から、観鈴の現在の親権者もしくは未成年後見人が、敬介か、少なくとも橘家の誰かであることが推測できます。観鈴の母が観鈴の出生時に自分ではなく敬介を親権者とする協議に応じたか、もしくは死の前に敬介(または橘家の誰か)を未成年後見人とする旨の遺言を残した、ということになりますね。

 仮に、親権を持つ母親の遺言によって未成年後見人が決まった、という立場に立つと、ここに更に深みを増すドラマが内在している風にも読めます。晴子は当初観鈴を引き取ることについて後向きでした。つまり、観鈴の後見人を決めようとする際、晴子も打診されたがそれを拒否した、という可能性が出てくるのですね。そのように妄想すると、晴子の苦悩は何倍にも膨れ上がります。(ノД`) …まあ、妄想ですけどね。もしそうなら、そういう記述がモノローグ中に出てきて然るべきですので。そもそも晴子は蚊帳の外であり、後見人は晴子の与り知らぬところで決まっていた、というのが妥当かと思います。

【親権の内容について】
 ここで「親権」とは何か。民法上は「身上監護権」(820条)と「財産管理権」(824条)に分かれます。敬介や晴子は、観鈴ちんの莫大な財産を目当てにしているわけではなさそうなので(笑)、前者の「身上監護権」を主な目的として争っている、と解することができます。

 「身上監護権」の内容については、820条と821条をお読みいただくのが早いと思います。
  • 民法第820条 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
  • 同第821条 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
 「監護」とは「監督し保護すること」(goo国語辞典より)です。こういう言葉で書かれると何やら味気ないですが、平たく言えば、同じ場所に住み、寝食をともにし、笑い、泣き、守ってあげられる権利を、親権者や未成年後見人は持っている、ということですね。しかしここで、子が必ずしも「親権者と同じところに住む」という規定になっていないところに注目。敬介が「観鈴。お前は今までどおり、晴子と一緒に暮らせ」と指定さえすれば、親権の如何に拘わらず、晴子と観鈴はその幸せな生活を継続できる、ということになります。

 制作者がここまで考証した上でAIRのシナリオを書き上げたか、について、我々は知りうる立場にありませんが、仮に上記の通りであれば、きちんと説明の付く設定にはなっているようです。

 最後に、この記事を書く機会を与えて下さった皆さまにもう一度感謝。本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
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コメント
この記事へのコメント
考察おつかれさまです

> 観鈴の母が観鈴の出生時に自分ではなく敬介を親権者とする協議に応じたか、もしくは死の前に敬介(または橘家の誰か)を未成年後見人とする旨の遺言を残した

もう一つ大きな可能性があります。
実母の死後親権者がいなくなり、家庭裁判所が後見人を選任した場合です。

【民法841条の1】前二条の規定によって後見人となるべき者がないときは家庭裁判所は被後見人の親族その他の利害関係人の請求によって後見人を選任する


ところで話は変わりますが、「遠野」は父方母方どっちの姓なんでしょう?
2005/03/15(火) 20:40:54 | URL | B2Z #-[ 編集]
なるほど
遺言を残す間もなく母親が亡くなり、親族(多分橘家)の請求によって後見人を選任した、というわけですね。これが最も可能性が高いですな。

→お題
>「遠野」は父方母方どっちの姓

上記では端折りましたが、原則的には、離婚時に子供は戸籍筆頭者の籍に残り、引き続き筆頭者側の姓を名乗る、ということになってますね。夫が筆頭者であることが大半ですし、何となく父方の姓なのでは、と思っていましたが、改めて問われると確証はありません。これは、

『母は旧姓、美凪は父方の「遠野姓」』

ということなのですが(親権と戸籍は別のため)、親権者の申し立てによって子供は改姓&母方への転籍が認められるのですよね(この場合、母親は実家の戸籍に戻るのではなく、独立した自分の戸籍を作成することになります)。だから、

『母も美凪も母方の旧姓である「遠野姓」』

という可能性も十分あります。もう一つ、離婚した母も婚姻時の姓を名乗ることができ(離婚時もしくは3ヶ月以内に届け出が必要)、その後に同様の申し立てによって籍を移すことも可能です。これで

『母も美凪も父方の姓である「遠野姓」』

というのも十分にあり得ます。

ゲーム中、美凪の母は「遠野の母親」「遠野さんの母上」と語られ、何となく「遠野という姓じゃないくさい」匂いはするのですが、これは美凪が自分のことを遠野と読んで欲しい、と言っているためと解することができますので、決定打とは成り得ません。また、美凪の自宅に向かう往人が一度だけ「遠野家」と言っている文章があるのですが、これが表札を見てのことなのか、単に「遠野(=美凪)の家」という意味で言ったのかが不明なため、やはり決定打とはなっていない気がします。(仮に母親の姓が「遠野」と確定しても、上記のように父方の姓、母方の姓のどちらの可能性も残ることにはなりますし)。

とりあえず、こんなところでどっすか?
2005/03/15(火) 21:19:52 | URL | てりぃ #-[ 編集]
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