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Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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電脳コイル 第24話「メガネを捨てる子供たち」
 体、と、心。


 触れるもの、と、触れないもの。


 本当のもの、と、本当じゃ…ない…も…




 ………本当に?

 
 




 …やってくれましたよ。



 もうブラボーという言葉しか出てきません。NHK教育というフィールドに、これ以上ふさわしいアニメがあろうかと。大人の方が「本物」を見失いがちなこの時代に、「キミにとっての本物は何だろう?何だと思う?」と、子供たちに静かに問いかけてくるような作品は、願っても得られない極上の素材じゃないですか…。


 ヤサコにとっての、迷い道。人間って本当に悲しい時には、涙はなかなか出ないことがあるものなんですが…「この悲しい気持ちがまやかしのためなんじゃないか?」と思ってしまいそうな状況に彼女は置かれていて。主人公としての静かな悩みが、返って痛々しいです。


 だけど。


 涙が出ないことをフミエに語り、

「だから私も痛くない。
 データが消えただけ。
 それだけ…」

と自分に言い聞かせるように話すヤサコと。


 その瞬間に聞こえた犬の鳴き声にすばやく反応してしまい、でもそれがデンスケではないとわかって

「死んで…しまった…
 本当に、死んでしまったのね、デンスケ…」

と泣き崩れるヤサコと。


 どちらが「本物」か、なんて、一目瞭然じゃないですか。ヤサコだって、それが薄々わかってるから、大人たちの言うように、イサコの言うように、「目に見えるものだけを信じて」「見えないものはまやかし」っていう風に思い切れないでいるんじゃないの?

 それにしても、ここのシーンの「デンスケっぽい犬の鳴き声」のインサートには爆死しましたよ…なんつータイミングでかぶせてくるんだ…グッジョブすぎる…。

~~~

 ゲームにしろネットにしろ、バーチャルな世界を展開する娯楽に対しては、常に世間の厳しい目が向けられています。虚構の世界におぼれるな、触れるものこそが真実なのだと、何度も連呼されています。確かに、おぼれてはいけないのだと、私も思いますが…それは、「虚構」だからおぼれちゃいけないのでしょうか?「現実」にだったら、おぼれてもいいのでしょうか?

 「現実」の世界にだって、良きものもあれば悪しきものもあります。それらをわきまえて選択しつつ生きるのが、人間の行く道のはず。そして、「虚構」の世界にも、良きものと悪しきものがあるのですよ。「虚構」だから全部がイカン、などという意見は、中身を見ようとしていないだけの安易な意見であり、むしろ「良きもの」の側面を見ていない分、問題があるのではないでしょうか?

 もしも。この胸の痛みをヤサコが「まやかし」と断じて心の裏側に葬ってしまったら…きっとヤサコは「現実」においても、悲しみときちんと向き合うことができない人間になってしまいます。例え「虚構」たる電脳ペット・デンスケに向かう悲しみであっても、その悲しさ自体は真実なのですから。悲しみにはきちんと向き合い、時間をかけて自分の中で正しく「思い出」に昇華し、その思い出を明日を生きる活力に変換していかねばならないのです。悲しみを自分の中に正しい形で定着させていくことなしに、良い生が送れましょうや。

 現実を生きる僕らも、「現実には無いもの」「現実に触れているだけでは足りないもの」を虚構の世界から取り込んで、現実の心を補いながら伸びていく、そういう生を送っています。小説、スポーツ、舞台、映画、マンガ、テレビ、アニメ、ゲーム、ネット、電脳メガネ…。どれもこれも、ある時代には「存在自体が悪しきもの」として断じられたことのある娯楽ばかりですが…その存在自体に善悪が無いこと、その中に何を見つけていくかが本質であることに、もう多くの人が気付いているはずです。

 なお、ヤサコの母親の言葉も、「子どもを思いやる親の気持ち」としては「本物」だと思います。だけど、ある程度以上難しい問題になってしまうと、「親から直接伝えてあげられる答え」はなくなってしまって、それは「自分で考えて掴み取らねばならないもの」になってしまうんですよね。手を引いてあげることは出来るけど、ゴールまで連れて行ってあげることは出来ない。分岐点でアドバイスしてあげることは出来るけど、正しい道順を選んであげることは出来ない。そんな、「親の限界」の寂しさのようなものも、とてもよく描かれていたと思います。

~~~

「ふさふさだったよ
 いい匂いがしたよ
 あったかかったよ」

 キョウコが夢うつつのような声で言った言葉。それが何のことを指していたのか、作品中では語られません。でも、それがきっと、「キョウコが感じ取っていたデンスケの感触」なんだろうなと、ぼんやりわからせてくれるところがステキじゃないですか。それがキョウコがあっちへ連れ去られそうになっていた時、電脳体だけの体になっていた時に感じたものなのか、それとも日常でも「ないはずの感触」をキョウコが感じていたのかはわかりませんが…ここで大事なのは、「触れないものであっても、『本物同様の何か』を感じ取ることができる」という点にあるはずです。

 では、デンスケの感触を得られなかったヤサコは、デンスケの中にある「本物」を感じてはいなかったのか、と言えば、そんなことはないのだと思います。「本物」を感じない人が、胸の痛みを感じますか。悲しみに嗚咽しますか。だから、

「この痛みを感じる方向に、
 本当の何かがある」

 この結論にヤサコが辿り着いた時は、心の中で拍手喝采でした。そして、このセリフによってOPの歌詞がようやく、自分の中で作品のテーマと繋がったんです。

光が溢れる この道に
いつも影は ひとつ
明日はそこに あるのだろう


 目に見える明るい世界の中で、つい目を背けてしまいそうになる影の部分、…古い空間の暗喩とも思えるそれこそが、ヤサコが今感じている胸の痛みそのものであり、その悲しみに繋がるものの先に、彼女が目指す真実があるはずです。何という壮大な仕込み。そして、ラスト2話がまさにそこに向けて収束していくというこの興奮。いやーもーホントに最後の最後まで目が離せません。

~~~

 さて、今回のサブタイには「メガネを捨てる子供たち」とありますが、ご覧になった方はお分かりの通り、子供たちは誰一人として自発的にメガネを捨てたりはしていません。単に「取り上げられている」んですよね、電脳メガネは存在自体が悪しきもの、偽者だという大人たちによって。でも、それを指してこんなサブタイを付けるなんてことは、この作りこみの細かい電脳コイルにおいて有り得ません。きっと何か、別の含みがあるのです。

 そうですね、例えば…メガネにかぶせられた大人の常識~「これはまやかしの世界だ」という欺瞞~を捨てる子供たちの話、とするのはどうでしょうか?ラストに向かって行動を起こす二人の子供…ヤサコとハラケンなんか、その描写にピッタリはまるじゃないですか。メガネに課せられた欺瞞を捨て、メガネの先にある「本物」を目指して、他ならぬメガネを手に取り走り出す子供たち…いかん、書いてて泣けてきた。(ノД`)

 何が出てきても泣いちゃいそうな状態で、残り2話にもかぶりついてまいります…もうこれからは一人で鑑賞した方がいいかなぁ?
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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テーマ:電脳コイル - ジャンル:アニメ・コミック

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コーギトー・エルゴー・スム デンスケはデータでしかなかった。 大人は触れられる物、暖かい物が全てだと言う。 年齢的にヤサコ達に近いオバチャン(笑)でさえ、電脳メガネは物事を解決する為のツールだと割り切って使っている。 触れられないものは無い。存在しな
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