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Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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「罪」と「罰」
 著作権の話。特に、著作者が明示的に許可していないコンテンツのネット氾濫について。往乃さんのまさかての記事からジャンプしていったら、かなり痛い話に辿り着いてしまい、その痛さはさておいても色々と思うことがあったので、「私見」として書き記しておきます。

 細かい点を捨象してわかりやすく総括すれば、日本の法律では今のところ「勝手にアップするヤツが悪い」「アップされたものをダウンする行為は悪くはない」という理屈になっています。入り口を絞れば、出口にこぼれることもなかろうという発想か、或いは「違法と知らずにダウンしてしまう善意の第三者」を保護する発想なんでしょうね(ここで言う「善意」は、人によって境界線が異なる概念的な善悪のことを言うのではなく、法律上の用語で「知らなかったこと」を指します)。麻薬の取締りや銃刀法に係る扱いが「善意であってもGuilty」であるのと対照的です。他にもアメリカなどではダウン自体が違法だったりするため、「日本でもダウン行為を違法に出来ないか」という議論が絶えないのだと思います。もちろん、ネットの特性としてカンタンにリンクできる、ダウンまでの敷居が低い、という問題がありますから、本当に全部Guiltyにするのか、仮に善意はセーフとするならどこで線引きをするのか、例えば未必の故意を立証出来るのか等々の「実際の運用上の問題」をクリアしなければ、単なるザル法に堕す危険は非常に大きいとは思いますが。
 
 ここから先は更に「私見」としての色彩を強めていきますが、そういう難しい点をおいてもなお「ダウン違法を」との声が絶えないのには、既に生じてしまっている「倫理観の崩壊」に一矢報いたい、という著作者側の思惑があるような気がするんですな。と言っても判りにくいかも知れないのでかみ砕いていきますと。

 「ダウンは違法ではない」ということが比較的広く知れ渡っているために、違法にアップロードされたコンテンツを単に見るだけの人には、非常に罪悪感が希薄になっています。平たく言えば、アップロードされたものが適法だろうと違法だろうと「見てもお咎め無し、誰からも責められることはないんでしょ?」という風に、多くの人が思っているってことですね。もちろん、法律上は「Not Guilty」、完全に無罪と言えるでしょう。でも、法的にどうかということではなくて、その行為が誰かの迷惑になっているんじゃないか、罪を助長することに繋がってはいないか、という点は、やっぱり考えるべきだと思うんです。

 一つ、思考実験をしてみましょう。違法にアップロードされるコンテンツが大量にあって、しかしそれを見ようとする人が限りなくゼロに近い世界を考えてみて下さい。その世界で、「ダウン違法を」との声が根強く叫ばれるでしょうか?私にはそうは思えません。違法アップロード自体を根絶することが難しく、他方でお気楽な「適法ダウンローダー」(見るだけの行為を指す言葉として「ダウンローダー」は不適当かもしれませんが、適当な言葉がないので便宜的にそう呼びます)が増え続けているからこそ、「何とかして歯止めを」という話になっているのであって、そもそも「適法ダウンローダー」が少ない世界であえてそれを取り締まりの対象にする意味はほとんどないはずなのです。

 勘のいい方はここで既にお気づきと思いますが、「ダウンを違法に」と声高に著作権者側に叫ばせる理由を作っているのは、日々増え続ける「適法ダウンローダー」自身なのではないか、という見解があり得ます。つまりは自分で自分の首を絞めているのかもしれない、ということですね。「だって適法なんだからいいんじゃん?!」と思う方は、やっぱり一度冷静に考えてみるべきだと思います。「違法」「適法」は単に今現在の「線引き」にすぎず、極論すれば未来永劫変わらない絶対的な違法・適法などないのです。過去の何らかの被害を被っている、と考える人がいて、その被害金額が決してバカにならないと客観的に判断されれば、新たに「罪と罰」は明文化されることになるでしょう。

 印象論で、「違法なコンテンツの流通がコンテンツの宣伝に一役買っている」という方向の主張をされる方も少なくありませんが、だから適法なままでよい、というのは短絡的です。実際、「オレは一切DVDを買わないが、違法アップロードされたコンテンツを見ることでそのコンテンツの商品を買い求める人が一定以上いるのだから、この仕組みはオッケーなのだ」などという恥知らずな意見が堂々と世の中に出るのを目の辺りにしてしまうと、「さすがにそういう人はちょっと思い知った方がいいんじゃないか」と思ってしまいます。人の痛みというものに無頓着に過ぎるでしょ、どう考えても。

 これまた思考実験で。自分が小説家で、苦労しながら文章を書き、その原稿料でどうにか生計を立てていると想像してみて下さい。ところが、自分の作品がスキャン&OCRで勝手にデジタル化・テキスト化されてしまい、自分のあずかり知らぬところで違法アップロードされ、それを決して少なくない数の人がダウンロードしているとしたら…。その挙げ句、「オレはこの人の作品を一切買わないが、この違法アップロードされたテキストを読んで小説本のゲンブツを買い求める人が一定以上いるから、この仕組みはオッケーなのだ」とか主張する人まで出てきたら…そりゃ「何とかしないといけない」と思うのは当たり前でしょ?仏様でも堪忍袋の緒が切れるって話だと思いますよ。

 「違法なコンテンツ頒布が宣伝に一役買っているかも」と考えて良いのは、あくまで著作権者側で、しかも「苦渋の判断」です。正しくはないかも知れないが、目をつぶろうかどうしようか、ということを考えて良いのは出し手の側だけなんですよ。それを、法的な訴求があり得ないのをいいことに、「著作権者側にも利益があるはず」と違法なコンテンツ頒布の恩恵に浴している人が主張するのは、まさに「盗っ人猛々しい行為」と言えるでしょう。

 法的な「有罪無罪」とは別に、それぞれが自分で培うべきである「善悪」の心は持っていましょうよ、育てましょうよ。違法アップロードされたコンテンツを無罪の立場で見ることを全て止めろとまでは言えませんけど、その時に「ちょっとの罪悪感」とか、「ゴメン、録画失敗しちゃったから、今回だけ!DVD出たら買うから!」とか、そういう気持ちが無くなったら「終了」でしょーが。

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 もうすっかり長くなったので、でももうちょっとだけ。違法アップロードするという行為に対しても、日本の現状では「親告罪」という扱いになっています。著作権者が「こういう違法行為がなされている」と訴え出て初めて罪として裁かれるという仕組みですね。つまりは、著作権者が「黙認」を続ける限りは、どんなに違法アップロードがなされていようと誰一人罪に問われることがない、それが日本の法律になっています。

 これもまた、「親告罪」ではなくして、「違法アップロードされたものはアップロードの瞬間にお縄に」という意見が出ては消えています。確かに、これもまた実際の運用上の問題を多く孕むことなので、もし実際にやるとしたら相当議論を尽くさないといけないことだと個人的には思っていますが…何故そういう意見が根強く出てくるのか、そっちの方をやはり考えてみるべきではないかと。単に「業界が自分の利益を守ろうとしている」とか「カンタンに逮捕出来る仕組みにすることで検挙数アップを狙ってるんじゃないか」などで終わらすのは稚拙だと思うんですよね。ホントの動機は別にあって、多くの著作権者に「今までは目をつぶってガマンしてきたが、もうガマンならん!」と思われてるかも知れないんですよ?

 そして、重要なことを一点。「親告罪は訴えられなければセーフ」というのは、あくまで法廷で裁かれないという点においてのみそうなだけであって、「犯罪であること」から外れるわけでは決してありません。「訴えられなければ悪くない」のではなく、「訴えられなくても法的にも悪いこと、ただし、逮捕はされない」というだけです。著作権者が「このコンテンツは自由に再配布して構いません」と明示していないものはアップしてはいけませんし、ましてや「このコンテンツを無断でアップロードしないでください」と明示してあるものなど当たり前にダメです。「訴えられないから大丈夫なんだろ」というのは子どもの理屈。大きな気持ちで(或いは取り締まり方の難しさから)、お目こぼししてもらっている、猶予をもらっているだけの話なのです。

 「悪法も法なり」と申します。どんなに理不尽であっても、法治国家に住む以上は、その法には従うべきです。それは、「受け手」にとってそうであるのと同時に、「出し手」にとっても同じことが言えるわけで、まさに今、「出し手」の方々は法の穴に苦しんでおられるような気がするんですよね。悪法であると思っている人が、その仕組みを適切なものに変えたいと言い出すのは自然なことです。我々「受け手」としては、「自分たちが被害を受けるような悪法の成立を阻止する」のはもちろん大事ですが、「誰かが被害を受けている悪法があるならそれを是正することに反対しない」ことも、また同じように大事にするべきなんではないでしょうか?そういう方向性で考えを進め、十分に議論を尽くしていくことこそが、真の意味で出し手と受け手の「Win=Winの関係」を築いていけるのだと、私はそう思っています。
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コメント
この記事へのコメント
反省文orz
記事を読んで私自身の著作権法違反に対する意識が希薄になっていたのを痛感させられました・・・だからこの場を借りて反省ですorz

しかし巷(どこだよ)で言われているように、ざっくりと「ダウンロードを禁ずる」とすればこの法律がザル法になる危険があるのは正しいように思われます。インターネットとダウンロードという物は切り離せないものなのに、ちゃんとした境界も設けず線引きもせずに「ダウンロードはイカンよ」ではあんまりな気がします。

実はこの後も40行ぐらいのコメントを書いていたのですが、その内容が記事の話からそれた気がした上、著作権を甘く見るようになっていた私が言うべきことではないなと思い直し、全削除してしまいましたw

追記:記事の内容を読んで「ひぐらしのなく頃に(無印)&(解)」のEDを思い出したのは私だけじゃないはず。
2007/11/03(土) 22:53:52 | URL | あるかさ #9WAugNKs[ 編集]
思いがあれば
>あるかささん

やや、何だか激しく反省されているようで…返って申し訳ないような妙な気持ちに。でも、そういうお気持ちがおありなら、それはそれで進みようがあるかと思いますよ。何かのお役に立てたのなら嬉しいです。

ザル法になりかねない改正は、個人的にも反対ですし、実際ムリだろうと思ってます。冤罪を大量に出しそうな改正はやるべきではないかなーと、ね。さてさて、どういう方向に進みますやら。

ひぐらし~については、スイマセン、私は全然見てないので、わかりませんでした。申し訳ないです。
2007/11/07(水) 01:05:29 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
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