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Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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時をかける少女
 かみやんのとこで熱の入ったレビューを読んで、これは見ておかなきゃいかんのじゃないかな~と思っていました。でも、調べてみたら、メチャメチャ上映館少ないんですよ。北海道ではわずか一館、サッポロファクトリーにある映画館のみ。遠いっつーの。恵庭ガーデンプレイスぐらいでやってくれれば、サクッと見に行けるのに。しかも、最終上映時刻が19時からってどういうことよ?こちとらお小遣いの繰り回しと残業続きでただでさえ大変だってーのに…。

 これだけ悪条件が揃っていれば、普通は「結果的に見に行かなかった」ということに終わります。ところが、今回は違ったのですよ。ひょんなことで休みが取れ、しかもその日が映画の日でオール千円。家族との予定もさくさくと調整が出来、半ば家を追い出されるようにして気が付いたら映画館に向かって車を走らせていました。これはもう、「運命」と思っていいんじゃない?

 そうして見てきた結果は…
 

 紛れもない傑作でした。


 最近滅多にない貴重な「休暇日のフリータイム」を使っての鑑賞でしたが、もう全く悔い無しであります。一夏の青春映画としても大変良い出来ですが、古き良き日本SFのテイストが、さりげない形でそこここに息づいているのがとても溜まりません。そりゃあ筒井康隆先生も太鼓判を押すであろうと、感激しながらの1時間半あまり。

 その「青春もの」「SF」という2つの軸を密接に絡ませながら、心の襞を描ききろうとあちこちに張り巡らせた憎い演出の数々が、夏の匂いをにじませようと徹底して作り込まれた映像と音楽が、私の目を銀幕に釘付けにして離しませんでした。よく言われることとして、息もつかせぬ展開をするアクション映画などで「あっという間の○時間でした」という感想がありますけれど、私は逆に「とても濃密な長い時間を、とても嬉しく過ごした」と思いましたよ。こういう経験が劇場アニメ作品でできるなんて。

 アニメを普段見ない人にも、もちろんアニメを見る人にも、安心して見て欲しい作品です。そして彼女の「夏」を一緒に過ごしてあげて欲しい。全国的にも上映館が少なく、住んでいる場所によっては鑑賞にとても手間がかかるかも知れませんが、「騙されたと思って映画館に足を運ぶ」だけの価値はある作品だと思いますよ。もう一度言いましょう。本作は紛れもなく、今年のアニメ作品のトップグループに位置する、傑作の一つです。


 以下、ネタバレ無しで二点ばかし、「ここぞ」と思ったポイントなどを。


○過剰も不足もない「心地よさ」
 アニメーションを普段見ない人たちに対して、手放しで薦めづらいアニメ作品は数多くあります。アニメファン以外には過剰に思えるであろう多くの萌え要素を登場人物が擁していたり、アニメ的なお約束を理解していないと引いてしまうような側面が強かったり。手早くストーリーを動かせるような破綻ギリギリの性格を持つ人間、とんでもない超展開が仕込まれることも少なくありません。結果、例えどんなに優れた点を持つアニメであろうとも、どうしても一般の人に受け入れてもらいにくい土壌が、今の日本では出来上がってしまっているようにさえ感じます。

 しかし、本作については「そんな心配は皆無」と言えましょう。登場人物は見た目も中身も「普通の今どきの高校生」たちです。「タイムリープ」というフィクション部分を除き、「物語の手軽な原動力」になるような突出した設定などは全く見当たりません。当たり前の世界を当たり前のものとして描く、そういう調整が徹底されている作品に思えるのです。

 設定以外においても、例えば画面は決して必要以上には動きませんが、ここぞという時には最も効果的なやり方で観客を酔わせてくれます。それは、未知の視覚体験であったり、心の動揺とぴったりシンクロした激しい展開だったりしますが、どれも嫌みになるほどではない「ジャストミートの表現」です。声優さんの演技も、決して日本トップクラスの声優陣による超絶演技ではありませんが、朴訥さの残る高校生の描写としてはむしろふさわしく思えるようなものです。それらは全て、とても大事にされている「空気感」に繋がります。

 一人の少女が、本当にそこで生きているような世界。

 その世界に放られて 水面に投げられた小石のように波紋を起こしていく「タイムリープ」という現象。少女との作用で世界が大きくざわめいていき、色々な軸を行ったり戻ったりしながら、「ちょっとした変化」に収束していく…その最後に描かれる機微も、そのために起こる全ての出来事も、どれもがかっちりと組み合って、この作品の「極上の味わい」になっているのです。


○確かに息づくSFとしての骨格
 その「作品上の仕掛け」が発動した瞬間、私はあっと声を上げましたし、心底「やられた!」と思いました。他に観客がいなかったらボロボロに泣いていたかも知れません。「SFというもの」について、人によって色々な括り方があるのを承知の上で、あえてこう言わせて下さい。「これこそが私の愛したSFである」と。

 緻密な科学考証を徹底的に盛り込んだSFも無論魅力的ではありますが、最終的にその設定がストーリーを紡ぐ上で「無くてはならないもの」になっているかどうかが、私にとってのポイントなんですよ。その点、本作は「タイムリープ」という設定を実に上手く昇華していると思います。多少、演出を優先した結果による不整合があるものの、そこはそれ、オトナの大きな心で目をつぶりましょうや。科学考証を優先するあまりにストーリーや流れを壊してしまうことの方が、私は惜しいと思うんですよ。主人公・真琴の気持ちを動かすツールとして機能するような仕掛けを「タイムリープ」は持っていますし、それが最大限有効に働くようにストーリーが細部にわたって練り上げられている。それだけで、私には十分です。

 そして、もう一点。本作中での「タイムリープ」は小さなものばかりなのですが、「裏舞台」としての遙かな過去も、そして見知らぬ未来の世界も、ちゃんと表現されているところがまた素晴らしいです。それらがどんな時代なのか、わずかながら語られるその言及部分には、やはりある種のバックボーンが作り手の中に存在していることを伺わせるのですね。起きてしまった過ち、これから失われるであろうものたち…そうしたものを良い方向へ変えていくために、「今何が出来るか」というテーマ。主人公の「日常を生きる数々の行動」とも二重写しになるそれは、作品に深みを与えるSFテイストとして巧みに織り込まれています。

 「時間を遡る」ことで「変わってしまうもの」と「変わらないもの」。その二つが、作中でどんな意味を持ってくるか。そして、そこから生じた主人公の心の波が、ラストシーンにどんな形で収束していくのか。是非、劇場で確かめて下さいませ。



 最後に、どうしても書いておきたい「ネタバレ」の感想を一つ。(既に鑑賞済みの方、ネタバレOKな方はドラッグ反転でお読み下さい。)

 途中、「何度繰り返しても変えられない『千昭』の気持ちと告白」に真琴はとまどい、とうとう「彼と一緒には帰らない」という選択に逃げてしまいますよね(余談ですが、おジャ魔女どれみシリーズの傑作エピソード「どれみと魔女をやめた魔女」でおなじみの交通標識の演出がニクイ!)。その結果、千昭が他の女の子と付き合う世界になったりして、真琴は彼が心変わりしたのかと失望するわけです。

 しかしその後、紆余曲折を経てラスト近く、真琴は逃げずに千昭と向き合おうとするのですが…そのシーンに流れる美しいアダージョ風のBGMが、挿入歌をアレンジしたものであることに気付かれましたか?その挿入歌のタイトルは「変わらないもの」なんですよ。彼女が最後に望んだ、変わらないで欲しい千昭の思い、ってことじゃないっすか、これは!

 な…

 なんつー仕込みをしてきますかぁぁっ!(滝漏)

 ただでさえ感動的なシーンなのに、こんな風にちゃんと意味を持たせた選曲までしているとは…参りました。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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コメント
この記事へのコメント
1度目よりも2度目。
私は雑事の合間を縫って何とか2回見に行きましたが、2度目はより感動を覚えました。

上映館も、上映期間も、回数も少なく、ネットの口コミ以外では大きな話題になっていないのがあまりにも惜しいです。
2006/08/17(木) 23:05:55 | URL | みみずの神様 #12YCxBKw[ 編集]
私は2度目ならず
雑事の合間を縫って2回目を~と目論んでいましたが、ついに行けませんでした。orz 私も「2回目ならでは、という場所がかならずある」と確信していたんで、どうしても行きたかったんですがねー。だって、日を追うごとに上映回数が減って、時間も繰り上がっていくんですもの。

別記事でも書きましたが、ホントに「もっと話題になって欲しい」と心底思いますねー。
2006/08/20(日) 16:33:04 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
TB返し、遅くなってすいません
 みすずの神様さんも言っていますが、二回目なんですよねぇ・・・。
 アレはそういうことかと一回では理解し切れなかった部分が大量に出てくるし、二回目ならではの笑いと涙で、観終わると使用済みのティッシュのような状態になります(泣
 DVDは買いでしょうね。何度も観れる作品という意味でも希少価値が高いです。
2006/08/21(月) 20:15:51 | URL | かみかみ #wyPnW/yE[ 編集]
あーいやいや、お気になさらずに。
おかえんなさーい。

そうですよねぇ、やっぱ、あの密度の高さから言って、二回目は必須ですよねぇ…。orz

DVDは、当然の如く買う気満々ですが、中には10月以降に封切りになる地域もあるようなので、下手をすると発売は年明け以降ってなことになりかねませんな…。ああ、札幌近郊でこれから上映するとこ、どっかないっすかねぇ…。

時に、「使用済みのティッシュ」って、一体ナニに使用s(以下削除
2006/08/22(火) 02:04:44 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
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お盆が終わった、なんとか戻ってこられたということで、昨日は出かけて来ました。目的は「時かけ」とひぐらし。映画『時をかける少女』を観て来ましたよ。もう先週で上映が終わっていたと思ったら、まだ一日1回ですがやってました。ラッキーと思って出かけて行ったらすごい
2006/08/18(金) 23:28:38 | blue bleu
 とにかく喰っちゃ寝、遊び、笑い、走り、恋したかと思えば失恋したり。 笑っちゃうくらい馬鹿。自分のやりたいことをひたすらに楽しみ、いかにも軽いタイプなのだが、でもなんだか憎めない。 ヒロイン、紺野真琴
2006/08/21(月) 19:54:13 | かみかみ神谷の凸凹にゃんにゃん
というわけで、「時をかける少女」の劇場アニメを見てきました。とりあえず、関連している本を並べてみます。本来なら、映画のパンフレットも一緒にしたかったんですが、完売していたため手に入れられませんでした。さて、視聴した第一印象は…真琴ちゃん可愛いーの一言に表
2006/10/02(月) 00:17:49 | ないとうの気ままな(?)日常
実は、ホントに描きたかったのは左下の方だったりする…ん~… 不思議なモンです。基本的に、ボクは衝動的に映画を観るということは無くて。観る映画は数ヶ月前から決めて、チラシ集めて、前売り券買って、満を
2006/10/02(月) 00:29:06 | 『真・南海大決戦』