FC2ブログ
Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
   来訪者数: since 2004/12/2...  現在人が見てます
例え答えが出なくとも。
 岡田斗司夫氏をご存知だろうか。僕と同世代でサブカルチャーに魅せられた経験のある方は、彼の名前ぐらいは知っているのではないだろうか。通称オタキング。後でエヴァンゲリオンを生み出すこととなるガイナックス設立の中心的人物の一人にして初代代表取締役。ガイナックス退社後は、東京大学で非常勤講師としてサブカルチャーを教えたり、3ケタあった体重を半分近くに減らした経験を元にレコーディング・ダイエットに関する書物を出したり…まあ、一言で言うと、「変なヒト」だ。少なくとも、僕はそう思っていた。つかず離れず。特に熱狂的な信者というわけでもなし、さりとてその影響から全く無縁というわけでもなく。たまにお名前を見るたび、「ああ、また何かやってるんだな…」と思う程度だった。

 今日もそのぐらいの、「何かやってる」という感想で終わるだろうと思っていた。ひょんなことから、彼が朝日新聞のコラムで人生相談に答えていることを知り、何気なくWebで公開されているアーカイブを読み始めて…あろうことか、涙が止まらなくなってしまった。発端は、この中学生の相談から。

 【悩みのるつぼ】クラス内の位置が気になります

 これ単体でも、何気にすごい回答だなとは思った。彼らしい的確な分析力とツボを得た表現力で端的に構成され、過不足無くまとめられた文章。そして、最後に付け加えられた「ありがとう」の5文字。非の打ち所が見当たらない、っつーか、自分には絶対書けないなと思った。そして、脱帽しつつ読み始めた、この回答の「メイキング」。これが、実にとんでもなかった。

 【社長日記】メイキングオブ悩みのるつぼ
 
(前略)朝日新聞の担当者によると、この相談には「岡田さんにぜひ答えてほしい」という一文が添えられていたという。
正直言うと「これ、難しいから逃げたいなぁ」と思った。だって解決不可能な相談だもん。14才の少女から指名して「助けて」って言われても、僕にはどうしようもないんじゃないか、と思ったんだよ。

他の相談と並べて社内に掲示した。相談依頼は1. から7. までの七つ。この女子中学生は1.だ。
社員たちの反応ははっきりしていた。
1. に答えるべき。ほとんど満場一致だった。


 この「ほとんど満場一致」を読んだ瞬間に、理由も何もわからない感情が胸の奥から止めどなく沸き上がってきた。もう、何も考えずに、ただただダーダーと泣きたくなったのだ。何故?わからない。わからないんだけれど、何かに感謝しながら、とにかく泣きたかった。

 あとで冷静になって考えてみて、ようやく理由らしいものを二つ見つけた。一つ。この相談をしてきた中学生の抱える問題には、僕自身も覚えがあるのだ。今でこそ人に合わせながら明るく振る舞う術を身につけている僕も、中学生当時はれっきとした「ネクラ」の側だった。調子のいい奴らが闊歩する校内で、自分の居場所なんてものは到底あるように思えなかった。それが僕自身の、暗黒にも思えた中学生時代だ。自然、感情移入の度合いは、「不倫傾向に悩むアラサー女性」やら「間もなくマンションを出なきゃいけないシングルマザー」やらの相談とは比較にならない、なるはずがない。これがかつての自分自身の相談だとしても、全く違和感がなかったのだから。

 そして、二つ。そんな悩みを抱えていた私もいつしか大人になり、今は二人の子どもがいる。実は今現在の彼らもまた、かつての私と同じような答えの出ない迷宮を、ここ数年さ迷っているのだ。幾たびか、妻や私が彼らの悩みや衝動に向き合ってやる機会もあったが、でもそれに対してこれぞという解決策はとうとう提示できないまま、今まで来ている。いつか彼らもここを抜けて大人になるのだろうと、そう思ってはみるが、そんな言葉が今の彼らの苦しみを和らげないこともわかっている。結局、出口らしい出口はないまま時間が過ぎて…。


 そんな、かつての私自身にも、今の私の子どもたちにも、手放しで同意をもらえたような気がしたのだ。


 面と向かって言われるような、具体的な言葉にするとウソに響くのだろう。だけど、「この少女に答えてあげてほしい」とほとんど満場一致の結果が出た、という事実は、虚飾も欺瞞も全部すっ飛ばして、ダイレクトに僕の中に入ってきてしまった。ああ、そうだよね、そういうのって辛いよね。みんなそこで悩むんだよなぁ、オレもそうだったよ。そんな「言外の想い」たちが、ぐるぐると僕の中を回る。何よりも、この苦しみを多くの人が経験していて、しかもそれを明確な形で解決しないままに大人になったのだろうということが、僕の涙を溢れさせた。


 恐るべきことに、岡田氏はそのことをはっきりと看破していた。


この回答で救われるのは、相談者の中学女子じゃない。
相談文を読んで、自分を思い出して、悩んだり思い出したりした人たちだ。
彼女以外の、この問題のすべての被害者や加害者や共犯者たちの、心の十字架をほんの少しだけ軽くする。

僕は彼女の悩みに答えられない。
でも、いまの僕は彼女の問題に答えることで、少しだけ「かつての自分」が楽になる。
彼女も、数年後かもっと先、同じような悩みを後輩か、ひょっとしたら彼女自身の子供から打ち明けられた時、やっぱり答えられなくて解決できなくて悩むだろう。

でもその瞬間、彼女自身の心はほんの少しだけ軽くなる。

夕陽を見ながら「いつまで続くんだろう」と思っていたあの頃の自分を、やっと少しだけ慰めることができる。だからこそ、目の前の苦しんでいる子供に一生懸命話しかけようとする。
問題は解決できないし、回答もない。

でも「なんとかしてあげたい」というパワーだけは、伝えることが出来るんだ。



 何と謙虚な。…いや、これは彼なりの的確な自己分析なのだろう。あの回答が相談者当人の問題に全く役に立たないということはないと思うが、問題の解決にはやはり程遠いのだ。それでも、そのことをわかっていても、彼はベストを尽くして回答を書いた。そして、当の相談者より罪深くも救われた自分のことを伝えるべく、お礼の言葉で締めくくった。彼女の迷い道はまだ続くかも知れない。だけど、それでも、この回答が残すものはとても大きいと思うのだ。


 かつての夕日の公園でため息をついていた僕たちのことを思い。今また同じようにため息をついている子どもたちのことを想い。あの頃の僕たちの問題は解決しなかったし、今の彼らの問題も解決はしないのだろうけど…そう同じように思っている人が、こんなにもたくさんいることで、辛さや苦しさを少しずつ薄めて生きていこうじゃないか。なぁ、あの頃の僕よ。そして僕らの、愛すべき子どもたちよ。


~~~


※余録(10/1 22:30)
 本文の趣旨とはあまり関係の無い話ですが。

 コメで指摘のあった件について、それなりに情報を読み漁ってきました。正直、すんごいツカレマシタ…。orz

 どうやら今年の前半あたりより、相当怪しげなことに手を出していることは事実なようですね。それ以前から「変なヒト」ではあったけど、ここまで始めたちゃったのかー、とは、確かに思いました。

 とりあえず、氏ご本人については、一定の距離を保って見ているぐらいが丁度いいかも知れません。私?私自身もそんなところですよ、以前も今も。この記事自体も、氏のことを持ち上げるのが趣旨なのではなく、「ちょっとした話を読んで、ちょっと救われた気になりました」というところがキモなので…そういうつもりで受け取ってください。と言うぐらいしかできんなぁ…。

 モメるのも嫌だし放置しっぱなしも気持ち悪いし、かと言って一度外界に出した文章をさっくりと無かった事にするのは絶対にできないと思ったので、せめて蛇足なこの余録を付けておくことにします。色々と不恰好で済みませんがご容赦ください。>All
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
■関連記事~
 「○○に、大きく発展する可能性があるとしたら」 (2012/12/11)
 イジメ、イクナイ (2007/11/27)
 「ヒーロー」について (2007/09/03)
 セクハラ考・1 (2005/07/06)
 憎しみを煽る行為にはNOを。 (2019/09/02)
 信頼 (2005/11/21)
 ヘタレ考 (2005/09/29)
コメント
この記事へのコメント
おいふざけんなや
「社員が社長(岡田)に給料払う」なんつうマルチ会社こしらえた
れっきとしたカルト詐欺師だぞこいつは
2010/09/28(火) 21:52:15 | URL | あると屋 #-[ 編集]
コメントを投稿する
※コメントについてのポリシーはこちらです。初めての方はご一読下さい。
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
※トラックバックについてのポリシーはこちらです。初めての方はご一読下さい。
https://terry.blog.fc2.com/tb.php/3513-bbf7e8d5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック